巨人=敵
それがいつからか、だれが悪者で、なんのために戦っているのかわからなくなって。
気が付けば、10年という月日が経っていた。
種族差別、人間が大きな力を持った時どうなるのか、なぜ紛争はなくならないのか。
なぜ人は、争いを繰り返すのか。
そして、それを繰り返してもなお生きようとするのはなぜなのか。
いやあ…本当に苦しい作品だった。
どんな理由であれ、人類の八割を虐殺したエレンはどうしようもない大馬鹿野郎だし、でもその運命を背負ってしまった彼の心中を想うといたたまれないし。
どうしたってほかに道はなかったのかとも思ってしまうし…でもそれも「人間」である以上仕方なかったのかなとも思わざるを得なくて。
そんな残虐な人間たちだけど、たった少しの幸せを感じるために、やっぱり生きていく生き物なんだよね。
本能とか生物とかそんなたいそうなことを考えている人なんかほとんどいなくて、「この時のこの気持ちのために私は生きていたんだ」っていう、ただただ日々の小さな生きる理由を積み重ねていきたいっていうのが、人間の本質なんだと。
それでいいんじゃないかと、そんなことを感じた最終回でもあった。
辛く苦しい戦いの果てに待っていたのは、決して全員の心が安らぐ世界ではなく、エレンがあれだけのことをしてもなお、戦いは終わらなかったけれど、
それでも人間が戦う理由を書き記したこの作品に触れられたこと、触れられた人がたくさんいたということが、この作品の持つ意味なのかなと思う。
この残酷で、でも美しさにあふれている世界で、私たちはこれからも生きていく。
リアルタイムで追ってきた進撃の巨人。
最後まで見届けられてよかった。
良作過ぎる良作でした。