憤る先生の姿は頼もしいと思うより先に危なかっしいと感じてしまうけれど、他人から見ればつい最近までの零も同じ危なっかしさを持っていたと考えれば、林田先生は身を持って零を押し留めたと考えることも出来るのかな
教師嘗めんなよという台詞が最近の零がどれだけ周囲が見えていなく思い上がっていたかを感じさせる
そもそも零ってここ最近熱血系になってひなたを、川本家を助けようと行動しているけれど、未成年の高校生でしか無いんだよね。だからそんな彼では踏み込めない領域が確かに存在する
川本家と繋がりが深くなった零だけどやっぱり赤の他人だから家庭と学校の話し合いに絡むことは出来ない。あかりたちの父親が消えた表現し難い哀しみを共有することが出来ない
そういう面では二階堂の問題も同様に零には踏み込めない領域だったはず。島田の「聞かれても答えない理由、そんくらい解れ」という発言は他人が生半可な思いで口出しして良い問題ではないと言外に言っている。
けれど零はある意味川本家以上に身近な存在でありライバルの二階堂だからこそ、その事情に踏み込む決断をする。
そして島田から語られた二階堂の事情は本当に他人がどうこう言える領域の話ではないんだよね。一番楽な選択肢は二階堂を一度将棋から遠ざけ本格的に静養させることなんだろうけれど、将棋を知る島田や零が彼の棋譜を一度でも見たらそんなことは言えなくなる。「将棋でまで弱い人間扱いされたらもう僕は何処で生きていったら良いんですか」という台詞が示すとおり二階堂は将棋の盤上で力強く生きている。それを他人が止めることは出来ないし踏み込むことも出来ない。
でも踏み込まなくても並び生きる事は出来るわけで。それがラストの零の決意に繋がるんだろうね
その決意が今の川本家に寄り添うような別の決断に繋がれば良いのだけれど、どうなるのだろうか?