モーターサンズの挑戦魂を象徴するような内容でしたな
ナツメは売り子からアイドル、そして女優へと転身していった人物。それだけを見れば本人の望む栄光を手に出来ていないとの印象が強くなる。そのような評価はナツメの自己認識すら落ち込ませてしまうもの
それだけに第二の故郷と言える球場に受け容れられた事で彼女に眠っていた挑戦魂や諦めの悪さが蘇る様子は良いね
そして、自分がこのように諦めないのだからかつて応援していた椿も諦めていないで欲しいと願う。そうした想いがラストに響く構成は本当に良かった…
日本を腰掛けと考えていた登場初期とは違って今のデニスはどうしたらチームにもっと受け容れられるかなんて悩んでいる
ブライアンからすればデニスの足りない点は明白。けれど、気付けないから状況は変わらない
ここでデニスが諦めず、自分流の遣り方・ホームランによって存在証明を行う姿には彼の挑戦魂が感じられたね
でも、それ以上に彼が不器用ながら片言の日本語を話したのはもっと球場に受け容れられたいとの想いも感じられたよ
そして椿ですよ……!
考えてみればコジローとて諦めの悪い存在。引退を考える年齢ながらバッターボックスに立ち続けている。だからか、かつてコンビを組んでいた椿も同様に諦めないでいて欲しいとの想いが有ったのだろうけど…
今の椿の在り方を諦めていないと受け止めるのは簡単ではない。けれど「プライド持って働けてる」という言葉が何よりのプライド。かつて共に挑戦した間柄だから尊重できる彼の今
サン四郎というマスコットが良い意味で只者でないと判り、そして彼が居る球場の深みを改めて感じられたエピソードでしたよ…
見た者の未練を現す鬼が敵となった点にも、そして現代から江戸時代を振り返る展開にも現れているけど、過去を振り返る行為が主題となっていたような
未練とは後悔した過去の姿そのものだから、幾つもの後悔を故郷に残してきた甚夜だから未練を斬るのは難しい
刀を向ける事すら慣れぬ様子で、消えた兄を忘れられぬ直次が幾つもの過去を振り切って鬼を斬ろうとした行為には未来へ向かう力が感じられたよ
だからこそ、語れぬ過去を持つ夜鷹は彼に惚れたのだろうし
一目惚れに近い形で夜鷹に魅せられた直次は当然のように夜鷹の過去も気にする。定長の助言を受けて夜鷹の事をより知ろうとするけれど、それって相手の現在や過去を知る事が相手を知るようなもので
けれど、過去なんて本人が語らぬ限り見えるものではない。今回は未練という過去が鬼となって現れたのが特殊なだけで
その意味では直次は未練という過去が見える状態が異常だと、これは斬るべき鬼だと考えられたのだろうね。その瞬間から彼自身も過去への未練を乗り越えようと出来た
本当に過去を斬り払ったのは甚夜なのだけど、それは現代には伝わっていないようで
現代からすれば過去において何が真実かなんて見えるものではない。真実を知る甚夜があの劇で気に入らない部分があるのは仕方ない
でも、薫が感じ取ったように、夜鷹が直次をとても好いている点はこれでもかと見えてくる。全てが過去となってしまった時代においてそれさえ残っていれば、残された者である甚夜にとって充分な真実なのかもしれないね
それはそれとして、甚夜は何で平然とした顔で学生やってるの…?
異なるレースが重ね合わせられたかのように演出された今回の演出方はルドルフが夢想したように、もしオグリが出走していたらレース結果はどうなったのか?と考えずに居られないもの
そう思えば、夢を見せるという点においてオグリは誰にも勝るダービー出走条件を満たしていたのではないかと惜しい気分になってしまう
それだけにオグリに不足していたものは何だったのかという点が焦点となる内容でも有ったね
冒頭のマルゼンの台詞に表れるようにダービーを走る事は誰にとっても名誉な話。それこそ多少の不利を受け入れたとしても
そう考えれば、1万の署名を集めた藤井や諮問委員会に乗り込んだルドルフもオグリをダービーで走らせる為にリスクを承知で行動していたと判る
オグリの走りには夢を見てしまう。だから夢が実現する光景が見たい。願いとしては単純であっても、夢とはそう易く実現するものでもないから夢と表現されてしまう
その点は頂点を取れる者は限られているという此処数話の問答に凝縮されているね
日本ダービーは最も運のあるウマ娘が勝つ、その格言に従ってしまえばオグリは運が無かったという話になり、勝ったチヨノオーは運が有った、つまりはオグリが居なかったから勝てたかのような印象を持ててしまう
けれど、その点は原作よりもレース描写を増やし、オグリが走るレースを誤認させる要素を減らす事により、チヨノオーは勝者に相応しい好走を見せたのだと判る内容となっていたね
勝ったチヨノオーを称える観客の姿を描く事で、彼女とて大勢の人が待ち望んだ夢を実現出来るウマ娘であると、ダービーを走り獲得するに相応しい頂点であるとも描いていたと受け取れたよ
そしてチヨノオーがそのような描き方をされているから、ダービーを走れなかったオグリがチヨノオーと同じような歓声を受けている事によってダービーを走るに相応しい品格を備えていると判る
だから、今回は無理でもオグリというたった一人の人物を機にルールを改訂しようという機運が生じる展開に無理がない。オグリはダービーを走れなくても実力で常識もルールも覆したわけだ
オグリキャップという存在をこれでもかと刻み込んだこの中央編入篇を終えて始まるのは最強との激走。彼女がオグリが走るレースへと本格参戦してくる未来が楽しみに思えるエピソードに思えましたよ
ポチという名前を付けておきながら実態はカメレオンってトラップにも程がある……
ただし、本当のトラップとなったのは名前より潜んでいた場所。ななの姉にとってケーキを嗜む尊い時間だというのに、振り返れば奴がいる…!なんてのはトラウマに成りかねないもの
まあ、そうした日常に潜むトラップって意図的に作られたものではなく、ちょっとした行き違いで作られてしまうもの。特に今回メインのお題となったエアコンはそうした類だったね
暑い日にエアコンが動かない。それはしのん達が思わず屋外廊下に寝転んでしまう程の受け入れ難いトラップ。抜け出す為に知恵を絞っても妙案は浮かばない
それだけにさくらの誘いは地獄で仏に会ったかのよう
つつじの無意識行動に見られるように屋外で暑い思いをする事は変わらない。けれど、瑞々しい農作物を収穫する作業は不思議と暑さを忘れさせてくれるもの
また、作業後に冷たいきゅうりで饗される様子はもはや嬉しいトラップと表現できるかもしれない
思わぬ収穫という意味では作物を分けて貰って、それで納涼会をするというのも暑さを楽しむ一工夫
予想外の暑さというトラップは避けたくなるものだけれど、暑さの中にいるから涼しさを感じられるし、ジューシーな野菜を楽しめる。それは夏ならではの光景だね
…と、それで終われば良い話なのに本当のトラップが別に控えていたというのはね(笑) 終わってみれば、暑さに苦しむのは回避可能な日常トラップだった。けれど、暑さを楽しんだのは事実である
これをしのんのお陰と採るか、しのんのせいと採るか。トラップに嵌まった者しか決められない夏景色だ(笑)
今回は仕事で怒られそうな状況あるあるが描かれたような
寝坊なんて仕事の日にやってしまった時は気が重くなるなるもの。そこで同様に気が重くなった社会人と遭遇してしまえば、それこそ気が合うかもしれないが、ルリコの場合は犬と意気投合しちゃうんだ…(笑)
それでも仕事人ならば仕事に励まなければならない。その意味では村田がルリコに貰い過ぎたお釣りを渡す為に駆け回ったのもルリコが仕事で怒られないようにする為と取れそう
一方でルリコが仕事中に村田の財布を届けようとしたのは仕事に関係なく相手の為を思っての行動と言えるか
それが結局互いに想い合って探していたというオチに繋がるのはもう付き合っちゃえよ!と言いたくなるが
仕事中である為に普段は掛かってこないユキからの電話をコジローがすぐに取れなかったのは「鬼電」と評したように怒られると思ったからかな?
こちらも結局は仕事だからという理由以上に家族の為にとの理由でCSを目指す理由となるのは良いお話でしたよ
人だけでなく鬼すら想いを持つ本作において、物の想いについて言及したのは少し意外性が有りつつ納得できるものだったかも
秋津染五郎という人物の在り方も物に想いが宿る現象と似たような話か。血筋に拠って名を継ぐ処を弟子筋を通して想いと共に継いでいる
ならば、名を変えてしまった甚夜は何処へと継がれていくのかという点が描かれた回となったのかな
甚夜にいちゃつく奈津の姿にはニヤニヤしてしまうが、彼女が口にする「お兄様」との呼び名に宿る想いは甚夜に痛ましい記憶を呼び覚ませてしまうもの
だというのに、簪に宿った付喪神は名と想いを切り離したい甚夜を優しく否定するね。繋がりは絶たれる事はなく、命も継がれていくもの
だとすれば、鬼となった為に故郷を捨て名を変えた甚夜にも絶たれぬ繋がりはきっと在ると言える
そもそも甚夜の今の在り方とて、何かを断つものではないね
奈津を初めとして、おふうとも直次とも繋がりを持った。そして今回出逢った秋津も悪い人間ではない。甚夜は生き続ける事で多くと繋がりを持ち想いを継いでいる
そうであったとしても、甚夜が故郷に残した想いが現代まで継がれていた様には驚きと感銘を覚えるね。甚夜が捨てた筈の甚太という存在はきちんと守られ続けていたわけだ
そこに至るまでの物語を改めて見守り続けたいと思わされたよ
さておき、甚夜はどうして現在で学生やってるの……?
1話の中で3つもレースが描かれるなんて、とんだ豪華仕様だ。どのレースも迫力に満ちていて本作を心の底から楽しめる要因となっているね
でも、オグリがヤエノのマークによって別のレ-スをさせられたように、構図としてはまさしく別のレースが行われていたような
カサマツで鳴らしていたとはいえ、オグリは地方から中央に移籍してきた新参者。いわば大活躍するなんて期待はされていない。けれどオグリが魅せたのは三冠を期待させるような激走
それによって別のレースが始まるわけだ
オグリをライバル視するヤエノの動きは印象的
クラシックを目指すヤエノがクラシックに出られないオグリを敵視する理由なんて少ない筈。けれど彼女はレース前から好戦的でレース中も徹底マーク。レースでの勝利よりもオグリに勝つという別のレースをしていた事が伺える
けど、オグリは良い意味でどのレースもふわっと走っているね。ペガサスSの走り方に留まらず、ヤエノからあれだけ敵視されても意に介さない。また、オグリをダービーへという世間の期待すら大きく反応しない
オグリはどのようなレースだろうと自分の走り方を変えていないと言える
むしろオグリの走りは他者に別のレースをさせるものとなるね
オグリをマークするレースをしてしまったヤエノに始まり、オグリに熱狂した藤井は記者の領分を超えて署名やら嘆願を行ってしまう
また、カサマツのスターを目指すべく見出されたオグリはマルゼンのセリフを聞く限り、将来的にはトゥインクルシリーズの大スターを担わされるのではないかと思わせる
オグリの走りは競る者にも見る者にも別の行動を起こさせる。だとしたら、前回はオグリを否定したルドルフはどのような行動に出るのだろうね?
というか、次の話って原作ではかなり特殊な演出がされたのだけど、アレはアニメでどのように表現されるか、その点も楽しみだったり
本作って第一話でまこがぼっち状態だった印象が強くてそれを引き摺っている為か、既に出来上がってるしのん達の交友関係にまこが混ざったとの目線で見ていたのだけど、今回の話は良い意味で印象を裏切られたな
今が仲良いのは昔からの関係があるからとは限らず、今が仲良いからっていつまでも繋がっているとは限らない。それでも今の楽しさは嘘じゃないし、未来へ連れていける。そう感じられるお話と思えたよ
しのんが中心となり計画した合宿。彼女が気合を入れるのは部長だからとの理由もあるだろうけど、自分が雨女だから皆が合宿を楽しめないのでは?という心配もあったのだろうね
しのんは過去の経緯から合宿の成否を気にしていた
また、つつじもしのんを勝手に部長にした事を気にしていたようで。しのんには直接伝えていたけれど、ピザ作りに積極的だったのは楽しい合宿を企画してくれたしのんへの感謝もありそうだ
つつじも過去を踏まえて現在の行動へと反映していた
対して経緯の共有が少なかったのがくれあか
彼女は物分りが良いから「詰まらない事」と言うけれど、思い出の共有が出来ない寂しさは築地へ行った際のななが充分に証明している
だからくれあを友と思うならフォローは必要で
過去の共有ではなく、現在の共有を意識させそれが未来へ続くと約束したまこの心意気は良いね。それはくれあを大切な親友と告げているも同じ。だからくれあはまこを親友として名前呼びしたのだろうね
また、ラストの花火は夜に咲いて夜に消える閃光というよりも、朝には見えなかった綺麗な光景が夜に染み込むものになったかのような印象を抱けました
ほぼ誘拐されたような身の上であるにも関わらず、ちっとも深刻そうではないし、子翠達に己をどうするのかと問いもしない。また、子翠達が何者かも探らない
この点は壬氏に対するスタンスと共通しているね。猫猫は余計な問題に首を突っ込まない
だからか、猫猫は偏りの無い目線で狐の里やその色に染まる子翠を観察する。そうする事によって皇帝に連なる一族との相似が見え、物語が至ろうとする最終的な構図が垣間見えたような気がするよ
狐の里や子翠の真実は探ろうとしないが、蘇りの薬に対しては過剰反応してしまうのは猫猫らしいね(笑)
そんな調子だから、薬の為に里を探るのも躊躇いがない。踏み込んではならない場所にも入ってしまう
そうして開いた先にあったのは正しく里の秘密か…。そして、こちらが開いたという事はあちらからも開かられるという事でも有って
遂に邂逅した陰謀の奥底に潜む者。暴力を厭わない者に対して薬師でしかない猫猫に何が出来るというのだろうね?
バレるかバレないかの瀬戸際を攻めるかのようなお話が見られる回となったような
風でスカートがめくれるなんてしょうもないEPだけれど、そこにはちょっとした心理戦も同時に存在している
村田が見ていないと誤魔化すようにルリコもルリコで見られても恥ずかしくないなんて誤魔化す。互いに内心がバレないよう冷や汗を掻く様子は微笑ましい
それで居ながら、普段着の自分がバレなかった時には不機嫌に成ってしまうのだから余計にルリコは可愛らしいね
一方で他人の内心をバラそうとしたのが飯島か
彼はアオナから売り子の裏側を聞き出そうとするけど、アオナは飯島の探りを否定する部分もあれば異なる言葉で言い換える部分もあったね
逆に問答を重ねる事によってアオナには飯島の事情の一端がバレていたような。だからこそ、彼女は球場の良さや自分の仕事観を話したのだろうし
それが転じて飯島が良い記事を書こうという心意気へと繋がり、そしてアオナ自身が先生として作りたい光景の理解へと繋がるのは良いね
いわば、自分に本当の自分がバレてしまった、なんて言えるかもしれないね
鬼を斬る際に必ず名を尋ねる甚夜。それは相手を覚え続ける為のきっかけ作りのようにも、相手の本質を把握する為かのようにも思える
ただ、夜鷹が甚夜の表情から彼の心の本質を捉えた点を見るに後者の意味合いが強いと見るべきなのかな?
甚夜は鬼と成った身でありながら鬼退治をする。それもいつの日か妹を成敗する為に。己が哀しい身の上だからこそ、哀しく猛り狂う鬼が無くした本質を捉えてやろうとしてしまうのかもしれない
夜桜の鬼とて本質が垣間見える鬼だったような
遊女である為に受けた宿命から心まで壊してしまった。成れの果てとしか思えないその姿を夜鷹が気にしたのは、彼女とてあの鬼と似た在り方で生きているからか
人は己と似た在り方をしている者に感情移入して、時には入れ込んでしまう
そう思えば、奈津が甚夜に対して特別な関心を抱くようになったのも、己から遠いお伽噺の剣豪ではなく自分と同じ悩める人と知ったからと理解できるね
ただ、本作において本質は危ういものとも扱われているような
茂助の優しい妻が人喰い鬼として成り果てたように、鬼に変じれば容易に人の本質は揺らいでしまう
それだけに、突如甚夜に対しラブラブモードに変じた奈津の在り方はとても危うい。…まあ、あれはあれでめっちゃ可愛いのでこのまま継続して貰っても構わないんですけども
奈津の本質を取り戻す為には原因を退治しなければならない
原因らしき秋津の前に現れた甚夜は果たして退治屋や鬼か優しい兄か?また、秋津自身も何者か?次回にて双方の本質はどのように描かれるのだろうね
OPの新場面に居るマーチがまさかのあのシーンを映したものだったから冒頭からめっちゃ衝撃を受けてしまった……!
さておき、オグリが移った新たな環境は新たな環境なりの問題がある。カサマツとてオグリ入学時には様々な問題や衝突が起きた。ハイレベルな中央ならそれが起きないという話ではなく、起きる問題の種類が変わるだけ
ルドルフが言った「中央を無礼るなよ」は正鵠を射ているわけだ
これまでのオグリの目標は北原に釣られて東海ダービーを意識していた。カサマツを出て中央に来たなら新たな環境ならではの新たな目標が必要となる
ここでギャップとなるのは他のウマ娘達との差かな。ヤエノを初めとして、誰もがクラシック3冠などの目標を既に定めている。だから転入後に目標探しをしているオグリは異質と言えて
けど、異質故に目標と成りそうなものが見つかれば迷わない。それこそ皇帝に歯向かう程に
ルドルフの迫力は凄まじいもの。それは彼女が怖いウマ娘だから等の理由ではなく、彼女こそがあらゆる目標の頂点に君臨する存在だからか
ルドルフはダービーを目標として走ったウマ娘を駆逐して頂点へ辿り着いた存在。それ故に夢を軽んずる事を許さない
だとしたら、ルドルフと同じだけの迫力を持って宣戦布告を行ったオグリは夢を軽んじていないと言えるのか?という点は前回の北原と衝突し、彼と同じように悩んだ姿を見れば明らかなわけで
これからのオグリは己自身の力に頼り夢を掴み取る必要があると知れる遣り取りとなったような
中央という新たな戦場を前にして武者震いするオグリの姿は新たな覇者の誕生を予感させるものがあったけど、果たして…
美食を求め日々を過ごしていれば当然のように遭遇する体重問題。特にまこの場合は食べる事への躊躇が時折無くなってしまうのだから危険度はあの面々の中で最も大きい
かといって食べないなんて選択肢はないのだから、運動して消費するしか無い。けれど、運動ばかりしていたら、それこそ美食から遠ざかってしまうわけで
チートデイだなんて物は言い様だけれど、適度に自分を許さないと日々の美食は楽しめない
体重がアカン事になったのはまこだけなのだけれど、そこで彼女だけが運動に励むのではなく、つつじやななも一緒に運動するのは良いね。彼女らの仲がとても深まっている、互いへ踏み込む事を許し合えているのだと判る
だから、ダイエット中のまこを食事に誘うだなんてちょっと罪深い行為もチートデイという言葉で許される
そうすればまこも厳しいダイエットに向き合う己を時には許してやれるわけだ。⋯⋯それが転じて、リバウンドしそうな食事の誘惑に負けるきっかとなるのは意志の弱さの問題かなぁなんて思ってしまうが(笑)
かったるい声出しが実は日々の仕事に活きていたように、99回の無駄という監督の言葉に現れるように。全ては何かしら意味があり、何かが詰まっていると言えるかもしれなくて
関する要素は一宮と獅子尾の関係にも見られるね。一宮は獅子尾との差を見て自分は満たされていないと感じていたけれど、球場で働く者達と同じお米を食べて、自分は一人でないと気付けた。自分を応援してくれる人達によって己は満ち、己の存在とて無駄ではないと気付けた
まあ、そういう土台を描いたのに一宮と獅子尾が米派・パン派で物別れするのは何とも気の抜けたオチだったけどさ(笑)
ルリコがウィクベに載った。些細なインタビュー記事ではあるかもしれないけれど、表舞台に立たない者にとってそれは相手を遠く感じる話
一宮が成績から同い年の獅子尾を遠く感じたように村田もルリコを遠く感じてしまうもの
だというのに帰宅部という何て事ない共通項や変身!の言動から村田と同じ場所に居ると教えてくれる彼女は本当に魅力的で罪な女性ですよ
他方で村田も山田相手に罪な言動をしているのはどう解釈して良いものやら。村田は全く山田を特別な存在と認識していないのに、山田が勝手に勘違いしていく…(笑)
呪いの絵ではなく鈍けの絵なんて飛んだとんちが効いた話だね
曰くのある鬼の絵はまるで誰かを呪い殺すかのような美が籠められている。けれど、実態は養父の好きな人を美化した感情が鬱陶しい程に籠められたノロケ絵
それは絵の見た目からは想像できない本質であり、同時に甚夜が知らなかった養父の姿とも重なるね
というかこのようなトボけた感じの回が繰り広げられるとは思わなかったし。良い意味で本作の深みを実感できたよ
甚夜にとって養父とは大切な人を守る為に火中へ飛び込める勇ましい人物であり己を拾ってくれた大恩有る大きな人物だったのだろうな。それだけにノロケ絵の曰くはイメージをぶち壊す後悔しそうな話
対するおふうの言葉がいいね。甚夜が知らなかった一面も知っていた一面も変わらず養父その人を示す要素
だとしたら、以前再会した際に幼少時とは異なる印象を覚えた実父も同様かもしれず
彼らは親子の関係には戻れないかもしれない。けれど酒という幼少時には知らなかった一面を通して言葉を交わす甚夜と重蔵はあの頃は手に出来なかった関係を見つけられるように思えたよ
大学生になると色々と世の中が広がるものですが、それを車の免許取得という形で表現した回となったね
初ドライブなんて順風満帆に行くわけが無いのだけど、道間違えに直面しても新たな思い出作りとして行きたい所へそのまま行ってしまうのは青春感が有って良いね
また、行くだけに留まらず新たな思い出作りに邁進するが如く楽しさが籠められた味を体感する彼女らの光景は素晴らしいものだね
遠出の際には真っ当に準備してから挑んだ方が良いのは当然の話。準備しないと試験に落ちるしのんのようになってしまう
でも、思い出作りであれば多少の失敗が有った方が楽しめる。高速に乗ってしまうのも準備無く築地を訪れるのも
ちょっとしたお出掛けのつもりが築地でBBQなんて贅沢な思い出。そこに美味しい料理が絡めば尚の事
過ぎ去る思い出を大切に味わうから、これからの楽しさを何度も求めたくなる。「もっと皆と…」という呟きに込められた掛け替えのない感情にじんわりと来てしまったのでした
てか、初ドライブで同乗者全員が寝ても文句を言わないくれあ良い子だな…
前回に続き己に出来るは何事かが問われる内容
前回にて猫猫や羅門は壬氏よりも権限は無いながらに知略に拠って己に出来る事を突き詰めてその場その場で必要な手掛かりを見付けていた。対して壬氏は己に何が出来るかを突き詰めようとすれば、必然的に己とは何か?という問いに直面する事になるのか
少しずつ明かされてきた壬氏の出生背景がここに来て意味を持ってきたように感じられるよ
深緑が気付いてしまったように、壬氏は尊い生まれであり間違っても宦官として後宮の管理を託されるような立場ではない
ならば壬氏は己に出来る事を考える際には、まず己は何者として事態に対応すべきかを決めなければならない。なのに中途半端な逃げを己に許してきたばかりに、深緑にも偽楼蘭妃にも壬氏らしからぬ言動で迫ってしまっている。あれは壬氏が反省するように宜しくない言動だね
それでも彼が猫猫を取り戻したいと願うならば遮二無二に行動するしかない訳だ
…まあ、扉まで破壊してしまう羅漢はやり過ぎだと思うけども(笑)
猫猫の行方は知れないまま新たに楼蘭妃や子昌も行方知れず。己に出来る事を為しても厄介事が増えるばかり
そう思うと、己に出来る事を行いつつ同時に厄介事の解決も図ろうとした羅半はかなり優秀であると判るね。ならば、袋小路に嵌りつつ有るかもしれない壬氏とて、彼を”使う”事で己に出来る事と代えたなんて考え方もできるのかもしれない
囚われの姫君の如く遠き場所に追い遣られた猫猫の元まで壬氏の手が届く時、壬氏は己をどのような存在と定義した上で彼女を迎えに行くのだろうね?
ビール売り子に歴史あり!と言わんばかりのA・Bパート
売り子の中で最も若手で常連が少ないサラだって、彼女の頑張りを見に来る家族が沢山いる。彼女は恥ずかしがるけど、あれとてサラというビール売り子を象徴する歴史
更衣室に残っていた大量の私物、特に昔の制服等は売り子の歴史であるのは見ての通りなのだけど、そこにウィクベ等が混ざる事で球団の歴史にも繋がっていくように感じられたね
売り子は球団でビールを売っているだけでなく、球場という場所を彩る存在でも有るのかな
だからか、他球団のファンが球場に来れば売り子のレベル含めて批評される。特に舐めた見方をする者達が自分達より上位の球団なら余計に悔しくなる。デニスがフォームへの悪影響覚悟でホームラン勝負に本気になるのは彼も球場の一部であるからだろうし
なら、最も球場の雰囲気を象徴する存在であるサン四郎が舐められた状況に何も感じないわけがなくて
球場を彩るビール売り子・ルリコが発した本気の応援に応えて負けが定められた台本を破り、球団の歴史を守ってみせたサン四郎の姿は格好良かったよ
鬼は永い時を生きる存在である為か、一度でも鬼になってしまえばそこから不変の存在になってしまう。例えば甚夜が31歳にしては若い見た目であるように、箱庭の鬼が200年の時を少女の姿で過ごしたように
だから不変の鬼が変わらぬ景色の中に留まるにはそれこそ周囲含めて不変とするしかなかったのかな…。それが鬼娘が選んだ止まった箱庭の中で他者をも拒絶する時だったのかもしれない
それだけに変わらないものは無いのだ、全てはいつか変わってくれるのだと示してくれるかのような話には温かい気持ちになってしまったよ
変わる象徴は序盤から出ていたね
直次の母は彼にしてみれば厳しい存在であるのは変わりようがない筈だった。けれど甚夜に示した態度のように子の明るさを喜び感謝する心を持つ。それは一つの姿しか無いと思わせた形が不変でないと示すもの
似た話は直次自身にも言える事か
兄が居なければと苦しそうに放浪していた彼の在り方は兄が戻らない限り変わらないように思われた。けれど、直次は兄が戻らないままに兄が遺した意志を受けて変わったね。時を進み続ける力を得たのだと判る
最も象徴的なのはおふうと定長の在り方か
時を拒むおふう、拒むを拒んだ定長。千日手に成りかねない状況が変わったのは新たな家族を受け入れるというとても単純でとても難しい決断を両者がしたからだね
時が止まった箱庭から出る決断であり、新たな時の中で生きる決断であり。鬼が不変を辞めた証となるならば、同様に甚夜も不変でない生き方を選ぶ余地があるかもしれず
今は未だ妹への感情を定めきれていない彼が永い時を生きる中でどのように不変と思われたものを変えていくのか、見届けたいと思えましたよ
オグリは関わり合う者との相乗効果によって自身を高めてきたタイプ。北原と出逢い、ベルノと出逢い、ノルンやマーチとも良い相互関係を育んできた
彼女は良い意味で他者に影響されるだけに、効能が逆転してオグリの足枷となる展開は重苦しい…
オグリと北原の絆はオグリを東海ダービーへ導くものか、それとも日本ダービーから離してしまうものか。オグリが迷わない、悪く言えば考えないからこそ北原に選択が託された形だね
オグリは既にカサマツの星か中央に比肩する者か曖昧な描かれ方がされているね
カサマツの観客からはカサマツ魂がどうのと言われ、中央で戦うタマモからはライバルのように意識される。六平は走りを評して地方に収まる器じゃないと言うけれど、現状彼女が走るのは地方レース
オグリをどう見るべきか扱うべきか。他者の評価が一定しないなら己はどう在るべきかが問われてくるのだけど、オグリは北原が隣に居ない自分を想像できない。今の自分は北原によって齎されたと信じている
オグリを中央へ連れていけない北原の存在はオグリの未来を固定化させてしまうもの、なんて捉えられてしまう
北原の夢はとても純真。眼前のレースから受けた情熱で東海ダービーを目指す彼の夢に揺らぎはない
対してオグリは北原の夢を受けて自身の夢とした。それは北原が目指すのがもし日本ダービーだったら、そちらを夢としていただろうと思える程に揺らぎが見える。なのに本人に迷いが無いから北原だけが迷う羽目になる
でも、中央のライセンスを持たない北原が迷うのはどう言い繕っても己の為でしか無くオグリの為にはならない
北原が示した無情なる選択肢。迷いの無いオグリに迷いを与える勝敗を前に彼女は誰の為に何を目指すと決めるのだろうね?
これまた癖の強い娘が登場したなぁ…
まこは友達が居なかったからか挙動不審さを見せてしまうタイプだったけど、ななは友達が居ても相手によって酷い挙動不審を発揮してしまうタイプか
幾つかの面でまことななは似ていると言える。だから二人だけではコミュニケーションの促進は難しい。二人の間に適切な潤滑油が混ざり込む必要があった訳だ
つつじは両者の知り合いという意味では仲介役となれるけど、面白言動でリアクションを引き出すタイプの彼女主導だと、リアクションをコンビで返せないまこ達には荷が勝ち過ぎる
それよか二人がアクションを起こす上で負担にならない方法を潤滑油にすべきで、そこで料理という手法が持ち上がってくる展開はいいね
まさに肉と脂は裏切らないならぬ肉こそ油になるわけだ
そもそもななのイメチェンとかまこが食材を持ってきたりドイツ語の教えを請うたりの行動に現れるように二人ともアクションは起こせている。後はそれを交流へと結びつければいいだけ
そう思えばブロック肉は両者の好きを引き出すものとなったような
ななの好きを作れたまこ、まこにちゃんと謝れたなな。新たな友達関係の誕生には微笑ましさを覚えてしまうね
…ただ、ななはあの極端な相手によって態度が違いすぎるアクションをもう少し直した方が良い気がするけど(笑)
消えた猫猫を探す面々が描かれる今回。けれど手掛かりがあるわけじゃないからすぐ手詰まりになる。猫猫の不在に焦る玉葉妃や壬氏を他所に羅門の探し方は今回の主題を象徴するようなものになったような
父である羅門とて猫猫を心配する心は有る。けれど、その感情を微塵も出さず、手掛かりらしきものを見つけたとしても一気に猫猫に繋がると言わず、まずは猫探しと口にしてからついでに娘もなんて発言する
彼は己に出来る限界を弁えているね
壬氏達が何とかして猫猫を探し出そうとしても人探しの専門家ではない彼らには限界がある。だからまずは己に出来る事を繰り返し、少しずつ猫猫に至る手掛かりを手にしていくわけだ
羅門は薬の知識から猫猫を追った猫の居所を、赤羽は猫猫を知る侍女として翠の字の思惑を言い当てて
ならば、壬氏とて己に出来る事として子翠という名の下女が後宮に存在するかを確認する。これは壬氏や高順でなければ探し当てられない真実
それぞれが己に可能な領分で行動を始めている
他方で攫われた為に出来る事が殆ど無くなったのが猫猫だね。一応手掛かりは残しては居るけれど、それ以上は無理だった
後は流れに身を任せるだけかと思いきや、道中で翠苓と子翠の関係を探り当てるのは流石。ただ、正体を見破ってもそれ以上の行動を起こせなかったのは、結局現状の彼女にはそこまでしか出来ない限界を前にしているとも言えるのだけど
訪れたは狐の里、ここで翠苓達は行動が制限された猫猫に何をさせるつもりなのだろうね
球場とは多様な人間が集う場所である為か、時には嫌な相手に出会う事も有るのかな?仕事から逃れたのに後輩に出逢ってしまう村田、他選手の応援ライバルに出逢ってしまったユキとキサ
でも、多様な面を持つ人間だからこそ、第一印象は嫌な感じがしても別の面を知れば好印象に落ち着いたりする。野球に詳しい清水と親しくなれそうな村田とか、同じ穴の狢に陥るユキとキサとか
他方で別の面を知る過程がすんなりとは行かなかったのがルリコや恵となるのかな?
村田は清水の野球好きを知って好印象を抱くけど、デレデレしたとも受け止められる村田の面を知って不快感を催すのがルリコか
清水に勝てないと見るや村田に小さな嫌がらせをするのは彼女らしいし、そこにどんな感情が潜んでいるか気になってしまうね
けど、別の面だからこそ嫌悪感を抱いてしまったのが恵か。確かに雨の日の球場はキツそうだ
でも、彼女の父はそんな別の顔を持つ雨の球場にこそ良い面を見ているというのは面白いし、その流れで恵も雨の日ならではの面を見出す流れは良かったな
他者や場所に普段と異なる面を見る事で好印象を持つ事も嫌悪感を持つ事も有る。けれど、そうした多様な感情を齎してくれる球場こそ多様な人々が集いたくなる場所なのかもしれないね
他の誰も存在を覚えていないか知らない兄を探しているなんて直次の悩みは捉え所が無いね
普通の失踪であれば人相書を配れば良い、誘拐なら犯人の痕跡を追えば良い。けれど、正体の見えない探し物は探し方も判らない。これに鬼退治が本領の甚夜が関わるが良いかも判らない
他方で他者も直次のようにはっきりしない悩みを抱えているのかもと見えてくる内容でしたよ
奈津との会話は思わず邪推したくなるはっきりしない何かが有ったような
甚夜は彼女の婚姻が近いのでは?と気にするが、奈津は近しい善二との祝言は否定するし自由な嫁入りが保障されている割に誰と目する相手も今は居ない模様
代わりに甚夜の所帯事情を気にしたり、年齢に驚いたりするのは…
ただ、確かなのは流浪の民として生きる甚夜を気にかけてくれる奈津はとても良いお嬢さんであると言えるのだろうね
奈津から生き方を気にされる甚夜は己で選んだ道ながら、はっきりした確信は持てず悩みながら生きている
そんな甚夜以上に悩みの中を生きる直次、自分すら信じられない彼だから助けとなってくれる甚夜の対応に過剰なまでに喜ぶし、彼の刀に過剰な興味を示してしまう
はっきりしない闇を藻掻く彼は、はっきりした助けが二つと無い喜びに思えるのだろうな…
今は真相の見えない事件。ここに水仙がどう関わってくるのかな……