登場するキャラクター全てに満遍なく活躍するシーンがあるってこういう作品を指すのだろうなと思える内容だった
非常に多くのキャラクターが登場するのに、どのキャラクターが好きな人であっても満足できそうな内容になっているのは流石。特に神埼が生身でありながら宇宙空間で大活躍してしまうシーンには度肝を抜かれてしまった
作中で中心となって描かれるアリサとシャットアウラの関係性は印象的
三年より前の記憶がなく、たった一つ出来たのが歌であった為に大勢の為に歌うのが夢だと言うアリサ。事故の後遺症で音楽を認識できず、自身を苦しめるノイズとしか感じられなくなったシャットアウラ。
二人の在り方の始まりにあるのが、オリオン号の事故である点は早い段階から判るが、二人の正体には驚かされた
正体を知ってから二人の在り方を見ると色々な部分が対象的である事が見えてくる。
歌手に憧れスポットライトを当てられ未来を夢見るアリサとレディリーの命令に従い陰の中で生き過去に苦しむシャットアウラ。そんな両者の唯一と言っていい共通項は奇跡に対し否定的な点
そして二人が再び一つになるための過程として、アリサはレディリーに囚われても自分の歌を楽しみにしてくれる皆のために奇跡の歌を歌う決意をし、シャットアウラはオリオン号全員生存の奇跡は自分の父が最後まで諦めなかったことにより導き出せた奇跡であると認めることが出来た。奇跡を否定していた二人が奇跡を認められたことで再び一つとなり新たな奇跡を引き起こす流れは良い
けれど、もし不満点を上げるとするなら当麻の活躍シーンが若干抑えられていた点か。歌手になりたいと言うアリサを後押しし、事故によって苦しみ続けるシャットアウラの目を覚ます役どころとしては充分な働きだけど、彼の最大の武器でありトリックスター的な能力である『幻想殺し』の効力が発揮されるシーンが少なかったのは少々不満かも。
終盤でレディリーは大規模魔術を展開しようとするけど、それに対峙するのは当麻でなくインデックスだったからなぁ。その分、インデックスの活躍が見られたのは良かったけど。
代わりに当麻が対峙することになったのがレアアースを操るシャットアウラだったこともあり、全編通して見ても「当麻にしか解決できない」という場面は少なかった印象
もしかしたら、あの異様なまでの打たれ強さは「当麻にしか出来ない」かもしれないけど。頭部に重傷負ってもしばらくしたらピンピンしてたのはちょっと笑ってしまった。