ボスが使うキング・クリムゾンは理解するのが難しい能力だなぁ…。周囲は時間が飛んでしまい行動している間を認識できないが、使用者は相手が認識しない時間を体験できるという理解で良いのだろうか?
ボスは未来に潜む落とし穴を恐れる。その能力を使い、危険な落とし穴を避ければ己の人生が沈むことはないという信念を持つ。だから自分の能力を打ち破るかも知れないトリッシュの存在を葬り去ろうとする。全ては人生の絶頂を保つために
ただ、ボスでなくても多かれ少なかれ人々は自分の人生が沈むことは望まない。ボスのように未来を知った上で選択出来るのなら不幸になる道を敢えて選ぶことはないだろうね
けれど、今回ブチャラティ達は絶望的な未来を知った上で困難な道を選ぶ
ブチャラティがトリッシュを守る理由なんてそれ程多くない。父親が娘を殺そうとする、ボスの身勝手な行動を許せないという一点だけ。そのためにブチャラティはボスの下にトリッシュを届けるという任務を変更し、自分自身の命令としてトリッシュをボスから護衛する困難な道を選ぶ
ブチャラティは協力を求めるため困難な道であることを教えた上でボートに自分の意志で乗れと仲間に言う。この時、ボートは水面に浮かんでいるために浮き沈みを繰り返す。堅く沈むことのない岸辺から自分の意志で浮き沈みする不安定なボートに乗らなければならない
けれど、不安定だからって選ばない訳じゃない。アバッキオはブチャラティの傍こそが自分の落ち着ける所だと言って乗る。ミスタはブチャラティならボスを倒せる、そうすれば次の幹部は俺かなと言ってボートに乗る。それぞれが乗った時、ボートは一瞬沈むがそれを気にすることはない
ナランチャはすぐに決断できない。けれど、トリッシュと自分が似てると気付く。彼は泳ぎ、何度も水中に身を沈めつつもボートに乗る道を選ぶ
結局正しくても馬鹿な道を選べなかったフーゴだけはボートに乗れなかった。堅い岸から動けなかった
けど、それは間違っているわけでもない。ある意味では彼の選択は正しいのだろうね
それぞれがボートに乗った瞬間、ボートは沈んだ。けれど、次の瞬間には少し浮いた。この先、ブチャラティ達が進む困難に続く道に沈むことが有っても、ボートのようにいずれは浮く事があると暗示しているように思えた