冒頭で説明される鬼殺隊やら鬼の生態。この説明や前回の戦いで充分に伝わってくるけど、鬼って太陽光という明確な弱点は存在するもののそれ以外の部分では人間より圧倒的に強いんだよね
それでも人間が鬼に立ち向かおうとするのは何かを守りたいと思うからで。そういった意味では禰豆子を人間に戻すために山を降りた筈の炭治郎が再び山の中で修行に明け暮れる展開って、実は話の構造的に停滞以外の意味を持たなかったりする
禰豆子は眠ったまま起きないし、最終選別に行くためには大岩を斬れと言われる。炭治郎は進めなくなってしまう
それでも炭治郎は立ち止まる訳にはいかない。岩を切るイメージは湧かなくても挑み続けるし、修行を継続するために鱗滝に教わった修行を繰り返す。禰豆子を人間に戻すために進み始めたのが炭治郎の動機であるならば、ここで炭治郎を立ち止まらせなかったのも禰豆子への想いだ。そしてその糧と成ったのは禰豆子のために書いた日記だ
立ち止まる訳にはいかないが進めない。そんな炭治郎の眼の前に現れたのは不思議な幻影。この二人の正体は後ほど判明するのだけど、岩を前にして進めなくなっていた炭治郎を手助けする役目としてあまりにも相応しい二人だと思える。
錆兎は「男」を強調して更なる強さを炭治郎に求める。「男」を強調して強さを求める時は大抵守る対象としての「女」がある。錆兎にとっては真菰がそれに当たり、炭治郎にとっては禰豆子がそれに当たる
真菰は炭治郎の悪い癖を指摘して全集中の呼吸のコツを教えてくれる。真菰はいわば鱗滝に習ったことを炭治郎に復習させてくれる存在
錆兎も真菰も炭治郎にとって前に進むための力を思い起こさせてくれる存在。ならば真菰に指摘された部分を直し、「男」を強調する錆兎に勝てた時は即ち炭治郎が前に進めるように成った時だ
岩を切り前に進んだ炭治郎を前にした錆兎の表情が本当に喜びと寂しさが綯い交ぜになっていて、これから炭治郎が進む道の悲惨さを感じさせるものだった