咲の在り方は特別なものであり、心の声が聞こえると吹聴していなくても周囲から浮いてしまう姿は小学生からすれば虐めの対象になってしまう。そこで咲が一時の感情から相手を攻撃してしまったものだから余計に事態は悪化する
まあ、あの状況で害意を抱くのは仕方ないのだけど、普通に拳を振り上げたのではなく見えない力によって相手を傷つけてしまえば周囲は見えないからこそ過剰に恐れてしまう。その恐怖を取り除くのは難しいし、咲もどうやって抑えれば良いのか戸惑う代物
咲が黒服ばかり着るようになったのは自身を罪人として扱うだけでなく、見えない脅威を見える黒服という異常によって示しているわけだね
だから、制服を黒く出来なかった中学ではわざわざ爪を黒くしている。
そういった意味では咲って心の声が聞こえる点や自罰行為によって性格が押し潰された面はありつつも、普通に心優しい女の子なんだよね
相手を傷つけても自分が罰せられないことに悩んだり、自分のせいで家族ごと引っ越さねばならないことに迷惑をかけていると感じたり。
そんな咲の前に表れたのは恵の願いが通じたかのような透とありさ。この二人が登場すると判っていても感動的な部分が有るね
他人への慈しみに溢れつつもどこか抜けている透と元不良のために周囲の空気から浮いているありさ。そんな二人だからこそ自分は異常なのだと訴えている咲が相手だろうと気にせず関わっていける。咲もそんな二人に安らぎを感じてしまうからもっと関わっていきたいと思ってしまう
ただ、その状況は咲が抱える問題を解決した訳ではないから、再び噂を提示されしかも二人に聞かれてしまえば咲は逃げるしか無い
ここで咲は再び自罰的になる。透と違う目線に立ち自分は人を殺せるのだと訴える。咲はそうやって自分を罰する
でも、透の「離れたくない」「大好きです」という想いは咲の自罰を飛び越えてぶつけられる。それを真正面から浴びてしまえば咲も内にある想いを無視できなくなる。更にありさの「お前は離れたいのかよ?」との後押しによって遂に罰とは関係無い自分の望みを発する
咲が自罰から脱し自分を許すきっかけとなった瞬間だね
こうして力の意味も黒服の意味も変わり、透達と親友となっていく咲の姿はとても感動的
フルバはどうしても草摩家の問題を中心に展開するのだけど、やはりこの三人組が仲良くしているシーンはとても好きなんだよなぁ