冒頭からダイナミックにアメリカへの家出が描かれる今回、けれどその動機になった喧嘩の経緯は描かれないまま
そのお陰か家出でありつつもお出掛けの様相を呈し、子供視点での小旅行を味わえるようになっているね
家出の気不味さを誤魔化すように遊ぶ彼女らにとって、初めて目にする景色は刺激的だから自分達が家出しているという意識を忘れさせ、遊びに来ているかのように
けど、本当に気にしてない訳じゃないから小林似の女性を見たり誘拐されれば、家族と離れている点を意識せざるを得ない
でも、子供にとって親と喧嘩するのは怖いし、その怖さを解決しないまま家に帰るのも恐ろしい
その反面、帰れないのも怖い。だからその怖さが無くなるまで、何を言っても一緒に居てくれる親を求めてしまうのかもしれないね
また、カンナの小旅行をもう一人の親であるトールが何も言わず陰から見守っていたのも良かったね
カンナと小林の穏やかな休日が描かれるBパートでは前半に喧嘩があった事を一切感じさせない。何はなくとも一緒に居る様子が感じられる
麦茶の為の買い物はいつの間にか小冒険へ。背の低い子供の視点を通して見つかる様々な楽しみは小林に普段気にする事のないマンホールへの興味を持たせてしまうほど
虹は雨上がりの空ではなく、水たまりの中に。カンナが見上げるのは「おうち帰ろ」と言ってくれる小林の顔。それこそが家に帰る合図。そして家に帰れば迎えてくれる家族の声に夕ご飯の時間
小林とカンナだけが共有した秘密の時間。穏やかで静かで壮大な事は何もなくて。けれど、とても尊い遣り取りが描かれた良いエピソードだったね