徳子に子が生まれ、法皇は側近を失い、清盛の増長は留まる処を知らず…
支配者が明確に成りつつ有る中で被支配者に出来る事は人事を尽くして天命を待つのみ。自分の見える範囲で精一杯になる人々の一方で人より多くを見てしまう重盛とびわの悲嘆があまりに哀しい……
目前の運命を変える為には自分に出来る事を積み重ねるしかない
出産の為には供養や赦し、赦される為には卒塔婆を浮かべ、相手に振り向いて貰う為に別の相手と……
出来る事すら無い者はもう運命など変えられない。清盛に見捨てられた形の盛子や市井の人々は救われない
権力者の傍にいて過去や未来が見える重盛とびわは見えるからこそ、救われずに終わりを迎える者達に対して忸怩たる思いを抱くのだろうね。
過去が見えたとて、未来が見えたとて、運命を回避できないなら何も出来ないも同じ
それでも何かをしようとするならば……
変わらないものが変わらないなら命を燃やし尽くすのみか…。自力で出来る事が無くなった重盛に残されたのは後事を託すのみ。息子に刀、そしてびわに……
見えるのに何も出来ないと嘆くびわに託されてしまった眼。そこに居ても歴史に関われない彼女の悲しみが更に増す未来しか見えないよ…