前回にて心中に見せかけた他殺が描かれたばかりの今回も同種の事件
殺人はどんなトリックを用いるよりも殺人と思わせない方が犯人の姿を隠してくれる。でも、ひと度殺人と知れたら見えてくるは計り知れない悪意
人死に関わる猫猫はだからこそ悪意の底知れなさを知っているのかもしれない
酒の飲み過ぎで死ぬ、それだけなら珍しくない話。でも酒瓶に悪意が混じっていたら別の話
猫猫は殺し方は推理できても犯人まで推理しなかった。高官殺しの主犯を明示してしまえば、次はその主犯が死を迎えるかもしれない
死に逆らう薬屋だからこそ、そこまで踏み込めないのか
水死体の下女が伝える死の苦しみ
それを通して猫猫は自殺の可能性は低いと推理する。すると、下女は悪意の果てに死んだ事になる
悪意は容易に人を死に追い遣る。そして悪意ばかりを見せつけられればナイーブになり、自身の死すらも想起してしまったという事か…
猫猫は身分や探偵役の立場からいつ悪意に晒されても可怪しくない。なら、せめて死だけは親しい壬氏に好きな毒で逝かせて欲しいとの願いだったのかな…
だとしても、それは流石に壬氏の好意を無碍にし過ぎている
悪意を嫌い好意に気付かぬ猫猫の言動に壬氏はどのような意を見れば良かったのだろうね?