色々と痒い所に手が届かないシナリオと感じてしまう部分が多かった印象かも…
アイドル物と言えば、アイドルに憧れる少女がスカウトやオーディションを通して自己実現を叶えるストーリーラインになる認識が有るのだけど、本作でやっている事は一種の邪道だね
スカウトされる事を見越してメンバーを集めて行動指針を決めて願い通りの境遇へと辿り着いていく。その計画性はゆうという少女が多くのアイドルファンがアイドルに対し一方的に求める純粋さとは掛け離れているように思えてしまう
けれど、そもそもが追い詰められた果ての行動だし、描いた計画を実現させる点は彼女の有能さを示しているとも言える
ただ、この点でどうしても気になってしまうのは様変わりしていく境遇に関して他3人の意向がその時々であまり描かれていない点か
ゆうは自分がアイドルになるという未来を胸に懐いて行動している。だから様変わりしていく自分にむしろ「待ってました!」と言わんばかり。でも、他の三人にとってはゆうを介して繋がった交友関係がいつの間にかアイドル活動になっていたという状態になるわけで
その状況に対する見解は後にくるみによって言及される部分はあるものの、もう少しその時々で戸惑いめいた言葉は欲しかったような気がしないでもない
本作はゆうを明確な主人公として設置してしまった為に、下手をすればくるみ達を添え物のように感じてしまうシーンが散見されたのは残念かな
本作を見ていて考えてしまうのは、アイドルとはどのような存在なのか?という点だろうね
先に上げたようにゆうが本作で行ったのは邪道であり、そうして手にしたアイドルという立場にどれだけの意味があるのか?という話になってしまう。蘭子達はゆうの思惑を知らなかったが、結局は無理に手にした立場によって苦しみを被ったと言えなくもない
なら、ゆうにとってアイドルとは何かといえば輝きを放つ存在となるわけで。そこで問題となってしまうのが彼女の行動が邪道である点。真っ直ぐな思いでない方法で更に友人を踏み台にして手にした立場は輝いていたのか?
その答えはくるみや美嘉を苦しめたという意味でアイドルのゆうは人を惹き付ける輝きを放っていなかったと言えるのかな
逆に共通項があるわけでもなかったあの4人が友人に成れたのは人としてのゆうの輝きが存在していたからと言えるのかもしれない。だから割合あっさりと東西南北が揃い、ゆうのGo my way気味な行動にも付いてきてくれて、最終的に交友関係も取り戻せた
その最大級の答えがラストの写真に籠められていると言えなくもないだろうし。アイドルとしては輝けなかったかもしれないが、友達とはしゃいでいたあの瞬間のゆう達は間違いなく輝いていた
まあ、あれだけの衝突を起こし一時的に絶縁状態となっていた蘭子達とあっさり復縁出来たのはちょっと理解を超えていたりもするが