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とても良い

千反田えるは涼宮ハルヒだ。より正確には、涼宮ハルヒの精神分析的な実装といえる。涼宮ハルヒは『涼宮ハルヒの憂鬱』という作品における神であり、SF的な世界設定によって与えられた超越的な能力によって、作品世界の時空間的な構造を、彼女の無意識の形に合うよう、強引に変化させてしまう。一方、千反田えるは、涼宮ハルヒのような超越的な能力を備えてはいないが、自意識という人間普遍の心理機構を欠いた超人的なキャラクターであり、好奇心や違和感といった前意識的な心の動き=無意識が抑制されずにそのまま奔出する。結果、彼女は、事件を呼び込み、折木による推理を促し、事件の背後にあった葛藤を暴き、心の淀みをなくしてしまう。言い換えると、千反田えるは、自身の無意識=好奇心が満たされるように、公共的な言語空間(私秘的でない言語空間という意味で)を作り変えてしまうのであり、その意味で『氷菓』という作品における神である。彼女の干渉は、人間の内的な葛藤、心の淀み、自意識の沈殿を許さない。しかし、人間は、自己や関係の同一性と連続性の問題として、葛藤の急進的な解消を望まない場合がある。里志と摩耶花の恋路はそういうケースである。だから、3人は千反田をだまし、公共圏への干渉を阻んだのだ。



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