あやかしが棲まう隠世で──
ひと皿の温もりが運命を動かす。
"約束"と"絆"が導く物語。
“あやかし”が見える女子大生・津場木 葵は、ある日突然、隠世《かくりよ》にある老舗宿〈天神屋〉へと攫われてしまう。
祖父が遺した莫大な借金。隠世で交わされていた“約束”。借金のカタとして迫られたのは、大旦那――鬼への“嫁入り”だった。
ところが葵は、その運命をはねのける。――働いて、返す。自分の力で。
借金を返済するため、天神屋のかたすみに食事処〈夕がお〉を開き、真心を込めたおもてなしで、あやかしたちの空腹と心を満たしていく。
ときには悩みながらも突き進み、葵は隠世の住人たちと絆を育む。
あの日交わした“約束”は、やがてかけがえのない〈居場所〉へと変わっていく。
南の地の宿〈折尾屋〉での試練を越え、〈夕がお〉へと帰ってきた葵。しかし、穏やかな日々は束の間――〈天神屋〉に、かつてない危機が迫っていた。
守りたい居場所がある。信じてくれる仲間がいる。
幾多の出会いと絆に育まれ ――物語は再び、動き出す。
1期に比べてより緊迫感ある展開が増えていたけど、そんな中でも葵が料理を通じて妖たちと交流するという根本はブレることなく、1期に引き続き深みのある様々なドラマを楽しむことができた。
大旦那様の失踪をきっかけに、天神屋だけでなく隠世全体にまで舞台が広がり、既存のキャラクターも新たに登場したキャラクター達も含めて様々なドラマが展開された。ストーリーが進む中で色々な場所に移動したけど、その土地やそこで出会った妖たちに合わせて料理を作り、それを振舞うことで妖たちと仲を深めていく葵の様子は1期から変わらず微笑ましかった。危機的な状況に見舞われた場面であっても折れることのない葵の姿もたくましかった。大旦那様との関係の深まりも感じられたし、1期よりも婚約者としての関係性を印象づけるような場面が多くてとても良かった。
大旦那様をめぐるストーリーの中では雷獣はじめ葵と敵対するキャラも現れ、時には葵や仲間の妖たちの命すら脅かされる展開もあり、ヒヤヒヤする場面も多かった。そういう展開になった時に、どうやって切り抜けるかというのも2期の面白さの1つだったと思う。葵の料理だけでなく、特に銀次や白夜などの天神屋の妖たちによる助太刀には安心感があった。
作中で登場する料理の作画が1期に比べてもレベルアップしていて、見ていると食欲をそそられる場面が多かったし、葵の発想の柔軟さや料理の腕の確かさに感嘆した。
かなり気になる場面で終わっているし、大旦那様と葵の再会をまずは何よりも見たいから、ぜひ3期をやってほしい。