武術の格闘大会から借力を駆使したド派手な異能力バトルに展開して怒涛のスピードで最後は何と戦っているのか分からなかったが、最後の最後に謎のばあさんが出てきて「誰?」って思って主人公と完全に同じ気持ちになれた。そしてここまで壮大なイントロダクションを見ていたのだということを理解した。3人の友情もちょいちょい絡めてうまい演出だと思いました。
創作の初心者が作った「ぼくのかんがえたさいきょうのぷろっと」を、なんの間違いかMAPPAがアニメ化してしまった。そんな印象のアニメ。
前半の展開は、いわゆる「天下一武道会」系で、ミラの結婚など余計なエピソードもあるがそこまで悪いものではない。
中盤以降生身バトルが「借力」という超常の力を使った「ジョジョ」系のスタンドバトルにシフトするのもまだ予想の範疇だ。
だが、中盤を過ぎてからの話の進行は悪い意味でぶっ飛んでいる。
「高校生が地上最強を決めるためにバトルする」という設定はあっさりと投げ捨てられ、何故か「鍵」なる神の力を巡っての人類存亡の物語にシフトしてしまうのには、全くついていけない。
中盤で、世界転覆を目指し、神の力の入手を狙う闇の組織「ノックス」の存在はほのめかされるのだが、それらに対処するのはGOH運営の大人たちであり、ジンたちGOHの参加者には全く関係ない。それなのに終盤では、なし崩し的にGOH参加者がノックスと戦うことになるし、その世界存亡の戦いも、最終盤ではいつの間にかジェガルとジンの決闘というミクロなスケールにまとめられてしまう。
中盤以降のストーリー展開は要約すれば「滅茶苦茶」の一言。視聴者の感情は置いてけぼりだ。
キャラクターも、ジン一行やイルピョはいいとしても、それ以外は出てきてはすぐ退場するので感情移入できない。
最悪なのはラスボスのジェガルでさえぽっと出ということで、ジェガル自体は中盤で出てくるもののバックボーンが殆ど語られず、かろうじて視聴者が得られる情報は「負けるのが嫌いなサイコ野郎」というだけだ。それがなぜ神の力を追い求め、この世のすべてを滅ぼそうとするのか、まるで理解できなかった。
今まで大物感を出していたノックスの首魁・マンドクがあっさり空気化したり、中盤でジェガルにあっさりやられた無名の選手が終盤に怪物化して蘇ったりと、キャラの使い方にはジェガルを除いても疑問が残る。
無茶苦茶なのはストーリー・キャラクターだけではなく、中盤以降登場する異能の力「借力」もメチャクチャだ。
借力はGOH運営者から「神の力」という超大雑把な概要が語られるだけで、鮫や大イカなど実在の生物っぽいのが出てきたと思えば、デイの水を操る力や、中盤に出てきた名無しチームのような武器を召喚する力だったり、死神や龍、魔法など非現実的なモチーフを操る力など、とにかく法則性がない。
その極致がミラの借力「呂布奉先」。具体的な人名が出てくることもあって今までの抽象的な借力から異様に浮いており、「ジンの正体は斉天大聖」という設定も合わせて「作者、『Fate』か『シャーマンキング』にハマったのかな…」と邪推してしまう。
また、観客が借力を使った戦いを不自然に思わないのも謎。「借力は一般人には見えないのでは?」と脳内補完できなくもないが、その割にジンvsイルピョの戦いではスタジアム内で起きた異変に観客がどよめいている。一貫性がない。
このようにメチャクチャの三段重ねの作品だが、唯一褒められるのはMAPPAが手掛ける極上のアクションシーンだ。
格闘アクションの作画は1クールずっと高水準が維持されており、格闘戦の「速さ」そして「重み」をしっかりと描けている。
前半のクライマックスを飾るジンvsデイの格闘戦などアクションに関しては見どころにあふれており、視覚面では非常に視聴者を楽しませてくれる。
まとめると、神作画とグズグズのストーリーを併せ持ったとかく両極端な作品。
視聴はおすすめしないが、作画だけは異様に優れているので暇つぶしにはありかも。
高校生の純粋な格闘トーナメントかと思ったら神の力を借りて戦う異能バトルものだった
なぜそんな力が存在するのか、なぜ使えるのかみたいなところが若干説明不足のように思えたのでバトルシーンの迫力をただ楽しむ作品
戦いの中でお互いが成長して主人公たちがその上に行くって感じの王道パターンはまあ良かった(限界まで熱くなれなかったのは演出が微妙だったかもしれない
作者がドラゴンボールやスラムダンクなどジャンプ黄金時代の漫画の影響を強く受けていたんだなというのは伝わった