すごい作品だった。だったんだが……うーん。
まず、攻殻機動隊に初めて触れた身としては、想像していたよりもだいぶコミカルな印象を受け、個人的にかなり好感触だった。
今まで触れてこなかった理由が、堅苦しそうとかクソ真面目そうとか暗そうみたいなイメージが理由だったため、これはかなりいい意味で裏切られた。
そういうわけで、陰謀や政治的やりとりが絡むハードボイルドなサイバーバンクものとしては非常に楽しめたのだが、それはそれとしてどうも人形使いパートが浮いているような気がしてならない。
いろんな思惑が絡んで一つの結末へと動く強い流れがある中で、人形使いやそれにまつわる死生観の話だけ設定の開陳に終わっているというか、単に作者が哲学的なことやりたかっただけだろうみたいな内容になっていて、全体のストーリーとしてそこにある必然性を感じられない。
それこそどちらかがなくてもどちらかが単体で話として成立するだろうという感じで、両者が一作品として併存している理由がびっくりするほど見当たらないのがどうにも収まり悪く感じる。
まあその感想も見越して融合とか言い出してるんならもう好きにやってくれという感じではあるが。
正直に人形使い周りの哲学的な話は、おそらく強烈なファンを生み出している一方で、作品としての完成度を落としているように感じられた。
まあ作者このパート描いてる時めっちゃ楽しかったんだろうなというのも伝わってくるが。
これほど有名な作品なのに、今まで原作そのものが映像化されていなかったことになんとなく合点がいってしまったのも、また事実であった。
見てはいないが押井版というのは、この辺りをうまく処理して一つの作品として融合させてるからこそ評価が高かったりするのだろうか。
この部分を除いても全体的にかなりややこしい作品ではあるので、深みのある雰囲気系作品としての評価が個人的には強い。
作画や劇伴、登場人物たちのやりとりが非常に良く、細かいことは分からずともとてもかっこいいシーンが連続するので、雰囲気さえ好みなら最後まで離脱せずに視聴することは容易だろう。