サービス開始日: 2018-01-17 (2494日目)
『“愛してる”は…とても勇気の要る言葉なのですね』
生物が言語や感情を学ぶプロセスはまず他者を模倣することから始まる。他者の思いを代筆することはそのような模倣の一種だと言えるだろう。代筆業という舞台装置を通してヴァイオレットが感情を学習するという話の基本構造はこうした前提を意識しているのかもしれない。
年越しそばの意味、「末長くそばにいられますように」という願いは、「セイバーがサーヴァントにならないこと」=「もう二度と会えないこと」がセイバーを本当に愛することの答えだったセイバールートでは決して叶わないもので、それが叶うこの世界の優しさ……。
フランクスに乗ることが性行為を暗示していると解釈すると、「フランクスに乗れなければ意味がない」という人生観は生殖行為を人生の究極目標と捉えるような、つまり人生論を生物学に還元していくようなスタンスに見える。それを否定するという話の流れになるならかなり論争的な主張を持ったアニメになるかもしれない。
クライマックスの場面にバトンを渡し続ける描写が挿入されるのが本当に完璧。
「大嫌いだけど大好き」/「悪魔だけど信じる」/「お前のために泣いてやりたいけど、涙も枯れ果てた」/「殺したけどどこかにいて欲しかった」
悪魔でありながら人間でもあるという「矛盾」した存在であるデビルマンを象徴として、様々なキャラクターの矛盾した心が描かれていたように思う。
しかしそれは批判ではなく、矛盾を含めて受け入れるという優しさに満ちた描かれ方であったように感じた。