映画大好きポンポさんのCLAPが制作ということで気になっていたため鑑賞。映像やキャラ描写はしっかりと写実的で、作品の雰囲気にも合っていたと思う。煙まで描く花火の作画が印象深かった。
主人公、ヒロインとも雰囲気は良かったが、主人公は淡々とした物静かめのキャラだったので、何としても妹を取り戻したい…といったような執念深さのようなものは感じ取りづらかったかもしれない。しかしリスク覚悟でウラシマトンネル内を14時間も歩いたのは普通にすごい。ヒロインも鋭さのある感じでキャラ立ってはいたが、転校初日で人を殴るのはさすがに良くないと思ってしまった...。そのため、ヒロインにそこまで萌えれず恋愛ものとしてドキドキしながら観るということは個人的にはできなかった。恋愛ものとして観るにはもう少し恋心の積み重ねが欲しかったように思う。
夏、海近くの駅、青空、ひまわり、祭り、浴衣、花火、ウラシマトンネルの不思議さ、二人だけの秘密(共同戦線)......といった雰囲気はシンプルによかったので、全体的にはプラス評価。
個人的に恋愛ものが好きということもあるが、本当にいい作品だった。
キャラクターデザイン、声優が本業ではないとは思わせない主演2人の好演、Eveによる挿入歌と主題歌、大阪の街並み、関西弁など···。よかった要素を挙げていくときりがない。
特に絵本の世界が美しく、印象に残った。本作のテーマや出来事は現実的なものだが、その現実性と対比されて一際輝いてみえた。
欲しいものに手を伸ばす。その過程は全て上手くいくものではなく、時に挫折や困難も伴う。それでも、それでも前に行こうとするさま、生き方にはやはり尊いものがある。美しいものを感じてしまうのだ。
人生の岐路に立つとき、なんとか前に進もうとするときに初心を思い出させてくれるような作品だった。