あの日の君に会いに行く。
ウラシマトンネル――そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る。
ただし、それと引き換えに……
掴みどころがない性格のように見えて過去の事故を心の傷として抱える塔野カオルと、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。ふたりは不思議なトンネルを調査し欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶ。
これは、とある片田舎で起こる郷愁と疾走の、忘れられないひと夏の物語。
久しぶりにストーリーに満足した。
浦島トンネルという大嘘の設定
それ以外は 成り行きも行動も主人公たちの思考も 違和感なく自然。
ご都合主義でないところがとてもいい。
彼女がトンネルに入る理由が無くなったと知るや、直ぐに
一人だけで行動することを決めた主人公。
主人公からのメールを受信した直後、迷わずトンネルに入った彼女。
満点の対応。良いシナリオだ。
迎えにトンネルに入ることで、2人の間の時間差が無くなる。
長い活動休止となった彼女の再スタートにも程よいスタートとなった。
二人の距離感が好き。飾らない二人だけどお互いのことになると少し不器用になってしまうのが可愛い。
四季のそれぞれの風景、特にトンネルの中の風景がすごく綺麗だった。
作画が綺麗なアニメとしてもっと知名度を得るべきだし、作画だけじゃなくてストーリーも丁寧に淡々と進んでいく感じが他の恋愛アニメにはない魅力なのでもっと有名になってほしい。
ラノベらがらも、とても丁寧に作られた良作品。もっとオタク層に知られるべき作品だと思う。
主人公とヒロインの「トンネル」を通じた恋愛模様が描かれていき、それがアニメの絵としてちゃんと伝わってくるような作りが良い。
昨年の映画大好きポンポさんに引き続き、CLAPの強さを感じる。(感想書き忘れてたので今更記述)
3回目
やっぱりすごい良い……
好き合ってるのに、どこか塔野くんとの距離は遠いままで自分だけが取り残されたような感覚が鋭利に寂しさと哀しさという傷を刻むよう
もう届かないくらい遠くにいってしまってもまだ忘れられないどころか、一層強くなる塔野くんへの想いを抱えるあんずの切なさにどうしようもなくなって、あんずがそうしたいように、今すぐ自分が塔野になって抱きしめにいきたくなってしまうような感情に自分も支配されてしまう
ストーリー的には素直な展開でしたが、画作りがとても良かった
ひまわりのシーンとか最高でした
あんずも良いキャラしてて可愛いよね
シンプルでキャラデザも好き
でも一番のMVPはカレンだよね
彼女にはホントに救われたよ
川崎さんのところは陰湿な展開かと思ったけど、そこはなくてよかった。川崎も良い子やね
とにかく狭義のアラサーはえっぐいくらい胸を抉ってくる演出ばかりなので見た方が良い!
心の準備してなかったので、瀕死状態ですね
雰囲気はティーンとか向けの感じだけど、分らない物も結構あるのでは?
2回目見たので
外と中で異なる時間の進み方をするウラシマトンネル。
これは過去に囚われた花城と塔野を永遠にその過去に閉じ込めるもののように見えていた。だけど、二人を結びつけもしたこのトンネルは、それぞれの捨てきれなかった過去と向き合わせ、そして未来へと送り出すための存在だったのかもしれない。
そして、その未来はただ待ち受けていた未来ではなくて、二人が一緒に巡り合って手にしたものだからこそ、鮮明に輝く未来になったのかもしれない。
塔野くんはカレンちゃんを取り戻すためなら、全てを犠牲にすることだってできる。そんなこと私にはできなくて、だからそんな塔野くんが私の目には特別に映った。
そんな塔野くんが私の漫画をおもしろいと言ってくれた。塔野くんが私を見つけてくれた一人目で、私を特別にしてくれた。それにウラシマトンネルの中で私の漫画の原稿を見つけた時、塔野くんは私を置いていかずに一緒に原稿を拾ってくれた。塔野くんにとって何を犠牲にしてでも取り戻したいカレンちゃんみたいな、大切で特別な存在に自分もなれた気がした。塔野くんの見ている世界の中で、私も塔野くんの視界に映ってるような気がした。
だけど、塔野くんは私を置いてウラシマトンネルに入ってしまった。
ずっと自分は独りだと思っていた。自分だけが独りだと思っていた。だけど、ある日そんな自分の前に表れた花城も独りだった。そして、花城と一緒にいると独りじゃない気がした。
けれども、花城は特別な才能を持っていた。彼女の漫画はおもしろい。出版社にも目を付けられるくらいおもしろくて、そんな彼女をウラシマトンネルに連れていけるわけなんてなかった。独りなのは自分だけでいい。
だから僕は花城を置いてウラシマトンネルへ入った。
そして、ウラシマトンネルの中でようやくカレンを見つけた。だけど、幼い姿のままのカレンに対して、僕は17歳の姿。失った時間は帰ってこないことを突き付けられた。そして、カレンに気付かされる。お兄ちゃんはまた大切なものを失いそうになっていると。
それは大切な人との未来。喧嘩して逃げてカレンとの未来を失ってしまったように、今また花城との未来を失いそうになっている。失ってはいけない、届けたい、伝えたいことがある。
「ずっと、ずっと」「大好きだ」
私たちはあの日からの13年を失ってしまったかもしれない。だけど、僕たちはこれからの永遠を手に入れたんだ。
とある夏に二人の前に現れたトンネル。中へと入れば、紅く色づいた紅葉が連なっている。そして13年の時を経てトンネルから出たところでも、二人を包むのは色とりどりに紅葉した木の葉たち。夏が過ぎれば、秋が来るのだ。そして、夏の生命力に溢れる青さと暑さを体感したから、秋に染まった赤黄の木の葉みに感じる物悲しさが、ただ寂しげなだけではない魅力的なものに映るのだ。
それに、二人一緒なら何気ない瞬間もきっと鮮やかに美しく見えるはず。灰色の世界も二人の目には夏の真っ青な青空、秋の彩り鮮やかな紅葉に見える。そして、冬の白銀の雪景色や春の桜色の並木道へと続いていくのだ。
ガラケーのポチポチ押す描写が凄まじく懐かしすぎる
途中ヒロインの目的がわかったところで一気に共感するところがあったので引き込まれた
主人公の夢世界?のようなところで自らの気持ちに気づくところで涙した
曲もすごく良くて映画館で見れてよかった作品
奇妙な偶然が重なって、個人的に変な刺さり方をした。語ろうとすると、どうしても半分くらいは自分語りになってしまうので適宜スルーしてください。
これはとても個人的な話になるけれど、自分はこの1ヶ月間ずっと、古い携帯に届いた着信のことを考え続けていた。ずっと捨てられずにいる携帯に届いた着信のことを。
(注:自分の携帯の話ではないので心配しなくて大丈夫です!)
その呪縛をようやく手放したタイミングで観たのがこの映画だった。こんな話だとは知らなかったから本当にびっくりしたし、悔しかったし、また嬉しかった。このタイミングで本作を観れたことに何か因縁めいたものを感じている。
あんずの言う「供養」という言葉がすごくしっくり来た。きっとこの映画は自分にとっての供養だ。その意味でも忘れられない作品となった。
珍しいことに、今回感情移入したのはあんずだ。自分は別に有名になりたいとはまるで思ってないし漫画家になる夢があるわけでもまったくなくて、もちろんなんの才能もなく、あんずとは全然共通点がないのだけど、この世界に何か生きた証を刻みたいという彼女の思いがなぜかすっと腑に落ちた。そういう欲望が自分は存外あるらしいということにも驚かされた。それもこの1ヶ月考えていた件と無縁ではないのだろうと思う。だから、もし1ヶ月前にこれを観ていたら全然違う感想を持っただろう。
自分はSFというより怪異とか都市伝説的なものとして受け取った。でも二人の共同戦線がきわめて科学的な態度でトンネルを調査していくのは面白かった。確かに『ほしのこえ』とか『トップをねらえ!』とか『インターステラー』とか、ウラシマ効果の名作がたくさん思い浮かぶけど、自分は他の部分がぶっ刺さったせいで、あくまで自分にとってはウラシマ効果はあくまでスパイスという感じになってしまった。よく引き合いに出される『HELLO WORLD』っぽさは個人的にはあまり感じなかったかな。もっと情念的な物語。この陰鬱さはむしろ『星を追う子ども』に近いかもしれない。ウラシマトンネルの考察はしたら野暮だなと思うのでしない。とかいいつつ水陸両用車で爆走してすごい速さでトンネル往復したり、超長いマジックハンド(光速とハサミのパラドックス的な)で奥の物を取ったら一件落着じゃねとかいう大喜利的ネタはつい浮かんでしまった。すいません。
古い日本映画とか文学的な雰囲気をもつとても良い作品だと思う。ヒロインの方が生を志向していて現実的な夢を持っていて、主人公の方が禁忌の呪縛に囚われているというのも良かった。そして映像と環境音の力が半端なかった。山あいのうらぶれた漁業の町、酒とぶちまけられた味噌汁と父親の女の香水の匂い、すべてを遮断するような篠突く雨音。この家から早く逃げ出したいと言う情念と、この世界に何かを刻みつけたいという情念。さすがCLAPだ。ポンポさんのアメリカ特有のパキッとした空気感と対照的な、匂い立つような情景描写だった。入場特典小説は(後日談ということもあるけど)けっこう雰囲気が違って少し驚いた。いい意味で普通にいいラノベというか、映画鑑賞前に思い描いていたイメージに近かった。だとするとあれは映画特有のものなのか。
駅のモデルは下灘駅かな。
追記:主人公とヒロインの声の演技がとても良かった。こういう作品はアニメの声優さんじゃないほうが合うと個人的には思う。
美しい世界でゆっくりと進む切ないロマンス、鬱屈した二人の男女が互いに生きることに迷いながら失われたアイデンティティを欲してゆく物語
最後は気が遠くなるほど痛切で切ないけれど、在りし夏を忘れらない郷愁に満ちた美しさがありました
自己承認の行き違い。否定された自分を他人の承認で埋めようとするか、自己否定で誤魔化そうとするか。返らない過去で立ち止まるのか、傷つきながら未来へ進み続けるのか。そんなアイデンティティを探るような青春の恋の一遍。
妹を失った少年・塔野カオルと、祖父を失った少女・花城あんず
二人からは”認められること”が欠けていた。
そんな二人の前にウラシマトンネル─欲しいモノが手に入るけるど、その中では外よりもずっと遅い時間が流れる場所─が現れた。
花城の最愛の祖父は漫画家だった。漫画が祖父との絆だったが、無名の漫画家で終わった祖父の跡を追うことを父母は許さなかった。売れないなら要らない存在。その断絶と否定が漫画で認められて、特別な生きた証を残したいという思いへと花城を一層駆り立てた。自己を否定された花城は誰かから認められたくて、そのための特別な才能をウラシマトンネルに欲した。
最愛の妹を失った塔野は自分のせいだと父から責め立てられ、自身でも自分のせいだという罪の意識を背負っていた。そして、彼は自分の全てを投げ打ってでもいいからとウラシマトンネルに妹を取り戻すことを願った。
そして、二人の共同戦線が結ばれた。
塔野の全てを投げ打つ覚悟は、花城の求める特別そのものだった。塔野の生きる世界を花城も見たかった。
だけど、塔野のその覚悟というのはただの自己否定だった。妹を取り戻せば、許されない自分という存在を消すことができる。塔野に染み付いた自己嫌悪というのは、特別な才能を手に入れて自分の生きた証を残したい花城のものとは正反対の望みだった。
そして、塔野だけがおもしろいと認めてくれた花城の漫画も、喜ばしいことに出版社にも認められて担当編集が付くことになった。しかし、花城を理解して、認めてくれる唯一の存在という塔野の姿が崩れ始める。花城はもう特別な才能を持っているんだよという塔野の言葉がこだまする。そんなの嬉しくない、ただ不安なだけ。重なったはずの二人だけの世界がズレ始める。
そんな時にやっと気付いた。花城が本当に欲しかったのは塔野自身。だけどもう遅かった。
二人で塔野の妹を取り戻しにウラシマトンネルに入ろう。そう約束した日よりも早く花城を置いて、塔野は行ってしまった。花城はもう特別な才能を持っていて、だから花城はトンネルに入っちゃいけない。塔野はそう言い残した。
じゃあ分かっていた気でいたのは私だけ?塔野となら私はこの世界を捨ててもいいって思えたのに……。たった数秒…数分…が、数ヶ月…数年…と二人の生きる時間をもう取り戻せない程に別つことで初めて、どうしようもないくらいに二人の見ている世界がズレていたことに気付いた。
たった数分をトンネルの中で過ごすうちに、外の花城は高校を卒業し、漫画家になり、連載を始めて終えて…と自分の人生を進んでいた。そして、眼の前に映し出されるのは、あの日の幼い妹と大きくなった今の自分。たとえ妹を取り戻せても一緒に過ごすはずだった日々までは戻ってこない。取り戻せない過去に拘泥することに別れを告げて、失ってはいけない、一緒に生きなきゃいけない未来のために進まなくちゃいけない。一緒に生きることが二人の生きる理由。
そして、13年の時を超えて届いた想いがふたりぼっちの世界を満たした。
ストーリー、設定はとても良かった。
この手のタイムリープで時間的制約があることへのハラハラ感はかなり伝わってきた。2人以外の置いてきぼり感は視聴者も置いてきぼりを食らってしまい、多少物語への入り込みという面は微妙なところ。
最後の方の締め方は少々ロマンチズムだったかな。
心ここに在らずの序盤はちょうどいい演技感だけども最後のはさすがに棒すぎて残念感が否めない。
主人公二人の声さえどうにかなれば…。
その他は高水準である。
全体通しては大変良い。