サービス開始日: 2017-03-20 (2969日目)
公開決定のニュースで見たときに主人公(あおい)のビジュアルが刺さったので観に行った。
この作品の一番良かった点は、「これは何についての話なのか」がはっきりしていたところ。
普段アニメを見馴れている人ほど、ラストが突然すぎるとか、肝心なところであかねは前に出てこないとか、小さな違和感を何度か持ったんじゃないだろうか。おそらくそれらは全て、「これはあおいの物語だから」で説明できる気がする。周りの人間との関係が漫画的手法で観客の見ていないところで勝手に進んだりしないのも、一貫してあおい視点だから。
そう考えると納得がいく。
声優陣の演技も素晴しかった。気鋭の俳優を抜擢!みたいに煽られると途端に見たくなくなる人も多いだろうが、この作品は本当に「適任な人を選んだらたまたま俳優だっただけ」と感じた。特にしんの/慎之介役の吉沢亮さんの一人二役は見事だった。別の「キャラクター」として演じわけるのではなく、同じ人間の別の側面なんだと自然に感じられるような、両者が地続きになっている演技だった。
楽曲も良かった。とりあえず主題歌は買ったので、あとでサントラも手に入れたいと思う。
総じて、もしかするとアニメに慣れていない人のほうが素直に見れる作品かもしれないと感じた。時期が時期だけにそこかしこで近年の新海誠監督作品と比較されているが、あちらがあくまでアニメーションという土台のうえでいかに色々な人に観てもらうかを追求したのに対し、こちらは先に作りたい物語があり、次に自分達はアニメーションが得意だからアニメとして観てもらえるために形を整えていこう、という段取りの違いがあるのかもしれない。
なにより綺麗にまとまっている点が良かった。見終わってから調べたところ、連載当初からアニメを意識して描かれていたとのこと。
全体の仕掛けはいわゆる叙述トリックではあるが、細かい伏線もありよく出来ていると思った。
事件の首謀者たちの動機がちょっと適当じゃないか?と一瞬感じたものの、変に大風呂敷を広げるよりはよほどいいと思い直した。
映像も演技も安定していて、目立った欠点のない作品。ただ、謎のアスペクト比と、他がキャラ系演技なのに対して黒沢ともよさんがいつも通りだったのでちょっと違和感はあった。