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全体
とても良い
映像
とても良い
キャラクター
とても良い
ストーリー
良い
音楽
とても良い

TO BE HERO Xの前半24話は、端的に言うとヒーローたちの誕生や生き様をオムニバス形式で描く作品だ。この世界では人々から寄せられる信頼が数値化され、その対象の性質に関する期待・認識がその人物の力や制約となり、それによって多様なヒーローが誕生する。

構成的には4~6話ごとにめまぐるしくヒーローが入れ替わるのだが、序盤のエピソードが結構面白く、視聴を続行させる力があった。エピソードの時系列は不規則で当初は全体像が見えにくいのだが、話が進むにつれて各エピソードで共通的に登場する人物や語られる出来事から徐々に世界や人物の歴史が形をなしていき、終盤一気に収束する凝った構成になっている。提供側も複雑さを自覚しているのか、公式サイトにはエピソードが進むごとに更新される年表と、各話の人物相関図が記載されていた。

また、アート・作画面も非常に凝っており、初期2エピソードは完全3D、そこから終盤まではアートスタイルを切り替えながらの2D、最終盤で3Dと2Dが交錯する形となる。これは単なるアートディレクションの都合かと思いきや、主人公たるXの能力との関連も示唆されており、最終話の2Dと3Dが高速で切り替わる戦闘作画は圧巻で良し悪しはともかく非常に新鮮なものではあった。

当初は一体どういう作品なのか何もわからず見始めたが、昨今の日本アニメにはないような新鮮な驚きが多数あった作品であった。命名や劇中の簡体字からチャイナアニメと判断し、特有の臭みがあるかと斜に構えて見始めたものの、そういった部分はまったくないことにも驚かされた。作画と演出のレベルはチャイナらしい労力と金のかかった一級品で、キャラデザ音楽ももはや日本アニメの超一級ティアと同等レベルに達している。

終盤になっても話は膨らむ一方であったため、一体どのように完結させるつもりなのか気になりつつ最終話を迎えたが、結果としてこれは全48話の前半部分に過ぎず、24話かけてトップ10ヒーローたちの自己紹介をしていたということが明らかになった。要するに異修羅と同じような構成なのだが、異修羅から激しく発せられる強烈なオナニー臭とは異なり、これは自己紹介を自己紹介と思わせずに最後まで楽しく(中だるみはあったが…)鑑賞させる構成を取れていたという意味で、その出来は大きく異なっていたといえると思う。

完結していないためここまでで評価を定めることは難しく、中だるみもあったためストーリー評価は1つ落としているが、全体としては今の時点でも十分に楽しめたという意味で高い評価をつけておく。なお、先行する2作品(TO BE HERO、TO BE HEROINE)は見ていなくても問題ないと思う。



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