原作既読。事故で両親を亡くした中学生と、それを引き取った叔母の生活とその変化を描いた作品。登場する女性キャラクターがステレオタイプを廃して多面的に描かれており、その不安定さと多面性が相互作用して生み出される日常が豊かに描写されている。そうしたキャラクター描写がこの作品の最大の特徴である反面、男性キャラクターの描写の薄さは際立っており、誰もが女性のように、もしくは古典的ステレオタイプに描かれていて男性視点からは特に違和感が強い。槙生の内省的でありつつも独断的で偏った思考とその自覚的に見えて無自覚な吐露も好き嫌いが分かれそうではある。とはいえ、それらを差し引いてもキャラクター描写には突出した魅力がある。
作画はとても良いわけではないがこの作品を描くには十分な水準であり、控えめの劇伴やOPEDも作品の描写に合っていて心地よい。
ストーリーは綺麗にまとまってはいるのだが、原作を知っているとやはり幾分か差し引かざるを得ない。原作11巻のうち8~9巻程度で終わっており、原作の終盤は大幅にカットされている。個別のエピソードは原作に忠実だが、構成を大きく入れ替えて異なるエピソードをクライマックスに持ってきており、作品全体から受ける印象も大きく異なっている。私はカットされた原作の槙生の変化の描写と捧げられた最後の詩が好きで、一度読んでしまうとそれはこの作品を締めくくるには不可欠に感じてしまったため、アニメのストーリー面の評価はやや落とさざるを得なかった。
原作と比べた際の欠落は気になるものの、アニメ作品単体として見れば人を選ぶが良作で、受け取る人によっては忘れることの出来ない大事なものにもなり得る、そういう類の作品だと思う。