世界の設定は非常に良い。また、描こうとしているものも良かった。キャラクターも揃っている。劇伴も良い。OPEDはとても良い。概して、素材は良いものが揃っている。だが、アニメとしての調理方法が何から何まで間違えているように思える。まず構成がおかしい。全体の3分の2くらいはずっと雛菊を中心とした過去の悔恨の描写がしつこく繰り返され、すれ違いが続く。10年前の事件を彷彿とさせる秋の事件をきっかけに、バラバラだった春夏秋冬代行者が結集して過去を精算し、未来を取り戻す…という、そこまでの抑うつ的な描写を糧にカタルシスを爆発させようという場面で、すべてを台無しにするような原作改編・演出をしてこれをなかったことにする。また、事件解決のために前を向いた後も、やはり何度も繰り返し悔恨の回想を入れ込んでくる。もうそれはいいんだって。見ている人がどういう風に物語を受け入れたいのかを考えて構成しているのか疑問に感じる場面が多すぎる。
また、戦闘描写がすべておかしく、いちいち没入を阻害してくる。10年前の回想もそうだし、春冬・夏秋陣営のそれぞれの会敵でもそう。会話のために敵がいちいち手を止めてくれるし、こちらが反撃したい時には丁寧に倒されてくれる。そもそも銃撃戦の途中に情緒たっぷりに会話を始めるな。本当にご都合主義的な動きをするシーンが多い。終盤は戦闘シーンが多いのに万事この調子なので、前半とはまた違ったイライラを与えてくる。
回想の多さや戦闘中の会話は原作からしてそうなのだが、原作は文字媒体だからこそ回想を短時間で雰囲気だけで受け流すこともできるし、戦闘時の時間感覚も気になりにくい。アニメはそれをすべてバカ正直に等倍時間で描いた結果、ナンセンス極まりないものになっている。回想などは、説明的な地の文を新たにシーンとして起こしたりもしているので、陰鬱回想の時間的比率が非常に高くなり、視聴体験を完全に破壊している。媒体の違いを全然考慮できていないように見える。
このアニメはいったいなんなのか。原作を丁寧になぞるでもない。アニメに適した形に構成するでもない。その悪いところだけを抱き合わせたような作品。良いのはOPとEDくらい。制作スタッフは猛省して欲しい。