黒狼の牙と別れ、そこで共に過ごした妻と家に帰り、街でも受け入れられているルーデウスと家族の様子…。今回は原作に輪をかけた形で1期の1話、2話をなぞる描写になっている。15年の長い歳月を経て今、気づけばパウロと似た道を歩んであの日のパウロの立場になり、家族と守るべき日常を得たルーデウスが…まぁ…パウロの情けないところもいい感じに受け継いだが…丁寧に描かれている。
家での食事会の風景も、馬での外出、魔術を伝える風景も、いちいち1~2話のブエナ村と重ね合わせる演出を加えてあり、ここまでの15年の長い歩みで失ったもの、得たもの、変わったもの、ここから守るべきものを強く感じさせる解釈と工夫に満ちていた。15年かけて本当に遠くまで来たけれど、今のこの日常はあの頃と繋がっている。馬での外出でカラヴァッジョについて語るのも、ライトニングを初めて試す場面でロキシーが幼いルーデウスを幻視するのもアニオリで、この制作は本当に素晴らしいなと。原作も良いのだけど、内容を尺にあわせて削りつつも、独自の、それも素晴らしい解釈で演出を変えてくるのは作品にとっても読者・視聴者にとっても幸福と言うしかない。
そうした日常の中にも、前回のザリフの義手に続き、吸魔石、自動人形、水王級魔術とルーデウスから明確に不測への備えが語られる。ギースの屈託のない様子と餞別。近いものと遠いもの、暗喩、匂わせ、露骨な宣言と、それはもうあちこちに色んな描写が…ありますね。