これにて、このシリーズが始まる前から見たかったエピソードの1つ目が終わった。映像でやってくれるとは思わなかったが、1話丸々使って期待以上のものにしてくれた。もちろん、いくつか省かれているものもあるのだが…逆に映像になったことで明確になったこともあり、それも含めてルーデウスがここまで積み上げてきたものが完膚なきまでに破壊されつくす様子を描いてくれた。実際、ヒトガミが手を回したのはロキシーと(これは省かれたが)シルフィまでであり、その後のことは半ば自業自得なところはある。今回断片的に描かれているように、この世界はルーデウスがチーレムできるほど都合良く作られてはいないし、この世界の物語と言えるものがあるとして、ルーデウスはその主人公ですらない。
無職転生という物語の主人公は、あまりに人間臭く、あまりに弱い。転生してから…本当は前世の時点から、様々な人の力を借りて前に進んできたが、支えがなくなるとすぐに倒れて前を向けなくなってしまう。だが、このどうしようもなさこそが一貫してこの物語の主人公の姿であり、どうしようもない自分を抱えたまま、弱くても、失っても、間違えても、絶望しても、失望させても、どうすれば前を向けるのか。理想には程遠くても、少しでもマシにやれるのか。それを見せようとしているからこそ、この物語は面白い。1つの姿であった老ルーデウスの物語を受けて、今のルーデウスが自分の物語をどう受け止め、どう生きようとするのか。その行方は、まだ定まらない。