OPからしてすでに壮絶。
やっぱ血生臭い世界だ。子供は戦士に憧れ、若者は戦に心躍らせる。その先にあるのは容赦のない殺し合いで死屍累々を前にすれば戦のヒロイズムなど幻想に過ぎないとトールズは知っているのだろう。
この戦争のヒロイズムはどの文化圏にもあるのだろうし、それは若者を戦場に向かわせるために使われ続けてきた。奇しくも、最初の大規模な近代兵器戦と言われる第一次大戦の際、英国の若者達が英雄的な活躍を夢見て意気揚々と出征したことが日記や記録に残っている。結果、過酷な塹壕戦の銃弾の雨の中で当時としては未曾有の戦死者を出したわけで、この作品のこの回を見ていると、有史以来の戦のヒロイズムが連綿と続いていることを思わずにいられない。
とはいえ、この10世紀初頭の北海周縁は露骨な征服と生き残りをかけた食うか食われるかの戦いがあったわけで、また戦いに勝つことで先祖代々生き残ってきたという生々しい自尊心もあるだろうし、近現代とは文明化の水準や生活史的な背景が違う。サバイバルとヒロイズムが融け合ったり分離したりする野性的なパラダイムがあったのではと想像する。考えてみたら、中世は日本でも源平から元寇を経て戦国まで戦いの時代で血生臭かった。形は違えど、どの文明圏でも中世はエグいなと。
6歳のトルフィンが物分かりが良いはずもなく……この先、艱難辛苦が続くんだろうなと。幼いトルフィンにトールズは命を懸けて大切なことを伝えようとするだろうし、その真意をトルフィンが理解するのはずっと先のことだろうなぁ……まあ、3話一挙放送というあたり、区切りたいポイントがトルフィンの幼少期のそこなんだろう……などと先々の展開を心の予防線のように考えてしまう。