前回といい、すごい回だ。
トルケルの誇り。アシェラッドの土壇場の知略。トルフィンはまだ若すぎて、戦士の心の機微も知らなければ、世を見渡す視野もなく、トールズの想いを理解できるだけの経験も足りない。
クヌート王子は既に先を考えている。父王を倒さねば何も開けて来ないことには以前から気づいていたのだろうし、それを実行する覚悟と胆力を得たということなのだろう。トルケルの寸止めに微塵も怯まなかった。 死の危険が幾らあろうとも、自分の成すべきことは変わらないという信念が見えた。だからこそ、アシェラッドにラグナル殺害を告白させ跪かせそれを許し、トルケルを味方にできた。
あの狂戦士然としていたトルケルがどんどん気持ちのいい男に見えてくる。ひたすらに歯ごたえのある戦さを望むのは、トールズが知り得た本当の戦士とは何かを体得するためであり、困難な戦いの道を行こうとするクヌートの覚悟を見て方向性が一致したと見るや、潔く組することを決めた。トルケルはトールズが戦士としての魂の置き所を見つけたということまで理解してはいるが、それがどこなのか、今も探しているといったところか。
アシェラッドは最初からクヌートの魂の奥底に可能性を見ていたわけで、自分の目に狂いがなかったことを喜んだ様子。自分の大目的への糸口を掴んだのだから、軍団を失ったことにも後悔は無いといったところか。