とても個性的で面白いキャラが沢山登場して、賑やかで楽しそうな所とか失恋の切なさとか恋愛の難しさとか、青春っぽさ全開の本当に素晴らしい作品だった。見てると元気が出た。恋が実らなかったヒロイン、所謂負けヒロインに焦点を当てた作品で、他のラブコメにはないような独自の視点から描かれたラブコメだったと思う。失恋を扱うわけだから、書き様によっては切なくシリアスな雰囲気の作品になる所を、この作品はコメディとシリアスのバランスがとても良くて、コメディ、ギャグパートはとにかく笑えて面白い、シリアスパートは展開だけじゃなく作画、演出、声優さんの演技、全てをフル活用して失恋の切なさとか辛さ、キャラの苦悩を表現してくる。バランスが良い上に全てがハイレベルな作品だった。そんなこの作品の面白さを最大限に引き出していたのがキャラクターだった。負けヒロインでもありメインヒロインでもある八奈見さん、檸檬ちゃん、小鞠ちゃん、まずはこの3人のキャラがとにかく個性的かつ魅力的だった。八奈見さんは特にメインヒロインっぽい扱いで主人公であるぬっくんとの絡みも多かったけど、とにかく面白かった。毎回登場し、出番が少ない回ですらその言動で何かしらの爪痕を残す、印象的なシーンを挙げればキリがない位に面白いキャラだった。ぬっくんとの夫婦漫才のようなやり取りもすごく良かった。演じる遠野ひかるさんの熱演も見事だった。ただのギャグ要員ではなく、最初に登場した負けヒロインということで失恋した様子とかもしっかり描かれ、それでも逞しく前に進んでいく様子はカッコ良いとすら思った。その後に全く吹っ切れてない様子が描かれるのも含めて完璧だった。自分の恋愛の時だけでなく、檸檬ちゃん編や小鞠ちゃん編の時の立ち回りやぬっくんの肩を押す姿も印象的だった。個人的に八奈見さんが1番好きなキャラ。檸檬ちゃんは元気で明るい子ではあるけど、自分の恋愛にスポットが当たった章での健気な様子は切なかった。恋愛的には檸檬ちゃん編が1番素晴らしかったと思う。光希と両片想い状態だったのにタイミングが合わず結局は結ばれなかった。切なかったけど、それでも檸檬ちゃん、光希、朝雲さんがそれぞれ考え、解決する姿には胸を打たれたし、最終的に3人共それぞれ良好な関係に落ち着くことができて安心した。小鞠ちゃんは奥手で人見知りではあるけど、それでも部活も恋も一生懸命な様子には胸を打たれたし応援したくなった。小鞠ちゃん編は恋愛というよりは小鞠ちゃん自身の成長や孤独にスポットが当たり、最終的に文芸部の面々のおかげで彼女が精神的にも孤独から抜けられて良かったと思う。主人公のぬっくんもとても良いキャラだった。静かでけど中々鋭いツッコミ、八奈見さんはじめ他のキャラとのやり取りが面白かったし、ヒロイン達と関わる中で悩み、苦しむ彼女達のために自分なりに出来ることをする姿がとても良かった。ただのモブキャラ・傍観者のようなポジションだったぬっくんがヒロイン達の中に入り、関わる中で徐々に登場人物の一員として成長してく様子を見るのもこの作品の面白さの1つだと思った。メインキャラだけじゃなく、サブキャラもとにかく濃くて、クセ者揃いだった。比較的キャラが多いのに影が薄いキャラがいない、男子も女子もとにかく個性的だった。ストーリー以外にも、作画や演出などとにかくクオリティ自体が異常なまでに高くて、普通に見てれば気付かないような細かい所まで拘って作られていた。2回3回と見てようやく気づくような発見もあった。とにかく非の打ち所がない位に素晴らしい作品だったし、ぜひ2期をやってほしいと思う。