原作勢としてこれ以上ない位に満足できる素晴らしい作品だった。この作品で個人的に一番素晴らしかったと思う所は、歴史モノとしての雰囲気・空気感にとにかく強く拘って作ってくれてた所。絵のタッチとか色合いとか、他のアニメとは明らかに違って、激動の時代を描く歴史モノのお手本のような雰囲気だった。作画だけじゃなく、手描きのフォントもすごく良い味を出してた。馬や鎧の作画とか、合戦の描写とか、アニメにするとかなり手間がかかると言われてる部分であっても、妥協することなく高いクオリティを追求して制作してくれたと思う。とにかく全編に渡って制作側の拘りと熱意を感じられる作りになっていた。原作のストーリーも各話うまくまとめてくれていたし、時としてアニオリ描写や演出を入れることで原作の面白さや魅力をさらに引き出してくれていたと思う。マンガよりも動きのあるアニメの方がよりうまく表現できるような部分もあったし、そういう部分を期待以上の形でアニメ化してくれていた。クセの強いキャラが沢山登場するのがこの作品の面白い所だけど、そのキャラの濃さ、インパクトが最高の形で打ち出されていた。特に尊氏の登場シーンの演出がとても良かった。理解が出来ない、悍ましい存在として描かれている尊氏の特徴をしっかりと読み取り、その理解できない・異質な存在であるということを演出で最大限に表現してくれたんじゃないかと思う。時行の逃げの描写のスピード感や躍動感もすごく良かった。特に9話は神回だった。この回は逃若党vs征蟻党の戦闘シーンの作画や迫力も最高だったし、時行の戦い・逃げの描写は素晴らしかった。拘りとかを抜きにしても単純にアニメとしてのクオリティが高かった。ここまでの熱意を持ってアニメ化に臨み、素晴らしい作品を作り上げてくれたこと、原作勢として本当に嬉しい。感謝の気持ちでいっぱい。制作にかなり時間と手間がかかったとは思うけどぜひとも2期をやってほしい。鎌倉奪還を目指す北条時行としての人生・物語の本番はむしろ2期以降だし、このクオリティでアニメ化してくれれば必ず素晴らしいものができる、今以上に面白い作品になると思う。2期の発表を楽しみに待ってる。