これまでリャナン・シーが選んできたのはジョエルの傍に居ること。それは吸血鬼としての愛し方から外れている。だからリャナン・シーからすればジョエルのことを愛しているわけではないし命を食べたいわけでもないと思っていた。でも吸血鬼の性質のため傍にいればどうしたって少しずつ相手の生命を減らしてしまう。それならこのままジョエルの命を食べる、それが吸血鬼としての本来の愛し方。
それを知っているエリアスからしたら何故リャナン・シーがその選択をしないのか不思議でならないけど、チセからしたら自分とエリアスの関係と似たような関係性のリャナン・シー達が望まない形の結果を迎えようとしているのならどうやっても助けたいと思ってしまうのだろうな。
隣人には許容できない妖精の塗り薬。それは隣人であるリャナン・シーにとっても同じだったはず。その塗り薬をジョエルに使い一時的にでもジョエルから自分が見えるようにしたのは吸血鬼としての本分を曲げた証。
そしてジョエルも死んだら妻の傍に行くかもしれないと言いつつ、リャナン・シーの傍にも行くと言い自分の命を差し出す。これも人間としての本分を曲げた言葉
その遣り取りからは隣人と人間が愛し合うためには互いの在り方の一部をねじ負ければならないのかもしれないなと思えた
最後には両者の在り方が違っているために死に別れとなってしまったジョエルとリャナン・シー。でも一瞬の出会いを切っ掛けとして二人が多くを分かち合ったのもまた事実で。
吸血鬼であるリャナン・シーが誰も居ないバラ園でジョエルを待ち続ける選択をしたのは彼女なりの新しい愛し方を見つけたからだろうな
以前、ドラゴンの国から帰る際にどこにでも行ける自由の翼を手に入れたチセはエリアスの元に帰ることを選んだ。そして今回の冒頭で描かれたのはエリアスがどこにでも行ける姿になったチセに傍に居て欲しいと望む話
それを踏まえてリャナン・シーとジョエルの悲恋を見るとどうしてもエリアスとチセの将来を暗示しているようで不安になってしまう。
視聴者からすればジョエルの死に様の印象が消えない中、吐血したチセ。寂しいからとチセを傍に置くことを決めた人外であるエリアスが今後、人間のチセをどうしていくか決める時が近づいているように感じられた