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とても良い

最後の最後まで水上悟志らしさに溢れた作品で、大変満足できる作品だった

龍の攻撃でシリウスの光景を見させられた宗矢。
物語の前半部では、グランドパラディンに対して封印装置がその人の望む光景を見せる描写が有った。虎居達はこれは夢幻なんだと、そんな光景を見せられた悔しさをバネに戦う力に変えていたように思う
対して宗矢は懐かしく温かい光景を見せられた上で壊される瞬間をリアルに再現された。どす黒い感情が吹き荒れても可怪しくないというのに、龍の正義の後継者になれという誘いを断り、後のシーンでは「俺の故郷はちゃんと此処にあるって確認できた」と憎むのではなく、夢幻を見せられた意味に別の意味合いを見出した。そして悪に成り果ててしまった龍を許してしまった
「皆皆全部、居ないんだ!」と号泣していたあの少年がこのように成長するとは……

又、そのシーンに居合わせた他の二人にもちゃんと意味があってそこに居たことに感動してしまった
龍はリエルに進行したシリウス人を滅ぼしてしまったことで断罪された。つまり、それは悪行として誰の記憶にも残っていたし、龍もそれによって自身が悪になったという自覚が有った。しかし、銀子の感謝によって龍の悪行には善い部分もあったと別の意味合いが生まれた
そして、以前龍を邪悪な殺戮者と糾弾した先生によって全ての物事に側面があるという事実と宇宙は祝福に満ちているという事実が告げられる。だから、龍も龍造寺隆の視点を通して自分の頑張りを認められる
奇妙な三人の同居模様から始まった本作がこのような着地点へ向かおうとは全く予想できない展開だったなぁ

そして宗矢はシリウスに帰還。これを楽園の民が奇跡ではなく縁と表現したのが印象的
確かにそれぞれの結果が生じる確率だけを見れば奇跡なんだろうけど、その結果を導けたのは彼らがそこに居たことで生まれた縁なんだろうなと思える
宗矢がシリウスに辿り着いたのも、のぞみが宗谷を見つけられたのも、荒廃した大地で一輪の花を見つけられたのも、そして全てを無くした哀しい少年が凛々しい青年に成長できたのも全ては奇跡ではなく縁であって、ある種の祝福でもあるんだろうね

正直、後日談が欲しかったという想いもあるけれど、このような素晴らしい作品に出会えた事を縁だと思い、しばらくは余韻に浸ることにしようかな



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