なぎさに大量点差をつけられる中で「何で戦ってんだろ」と空虚な思いを抱くようになった綾乃。思えば二人の関係は最初の試合で互いに「何故自分はバドミントンをしているのだろう?」と絶望を突き付けた事が始まり
この決勝戦ではなぎさによって綾乃が追い詰められ、かつてのなぎさのような想いを抱く。けれどそこで終わらずに会場の声援やなぎさの全力全開を通して少しずつバドミントンの楽しさに目覚めていく綾乃の様子はとても良い
捨て身のゼロポジションから大量点差を一気に詰めた綾乃。それでも負けずに喰らいつくなぎさ。凄まじい勝負の中で負けたくない、勝ちたいという想いが前面に出て、遂には苦しくて楽しくなってきたと感じ出す二人
これは前回有千夏が言っていた「倒し難い相手と全てをかけてぶつかった時、そこに生きてる意味があるんじゃないかって思う事が有る」という台詞に通じる状況
この状況はおそらく綾乃だけでなくなぎさにとっても初めての経験。かつて絶望を与えあった二人が、あの時とは違い全力で想いをぶつけ、その果てに辿り着こうとする様子は素晴らしい
決着が着いたのに、一瞬それに気付かず呆然とした後に大泣きしたなぎさの描写も良かった
なぎさとの試合を通してバドミントンを好きになれた綾乃。まだ綾乃はバドミントンをやる楽しさを知ったばかり。だから彼女が母の誘いを断りバドミントンを好きになれた北小町に残るのは当然。
……というかあの流れでデンマークでバドミントンしないかと誘う有千夏のメンタル凄いな。やっぱり普通の母親じゃないわ
そしてあの綾乃がなぎさと早く打ちたいと子供のような表情で言い、なぎさも易い挑発に乗ってしまうなんて第一話の頃の二人の様子から想像できただろうか
そして最後は朝日が昇る校舎で再び白帯を通して向き合う二人の描写でおしまいという非常に爽やかなラスト
原作と大きく変わっている設定や展開に何も思わないわけではないけれど、全ての展開がこの決勝戦へ向かって広がり収束していくような展開は納得ができるものだったし、「はねバド!」という作品をアニメにするならこれ以上は無いと言える出来の内容だった
ここまで素晴らしい作品を作り上げてくれたスタッフの皆様には心の底から感謝したい