ああ、そうだよなぁ…。地獄のような世界で女手一つで稼ごうと思ったら必然的に手段は限られてくるよなぁ……
ミオがあまりにも残酷な現実を見せつける一方で百鬼丸にも試練の時が
これまで彼は身体を取り戻すことを目的として旅をしており、何か部位を取り戻すごとにまるで新しい感覚を楽しんだり驚いたりするような表情を見せてきた
けれど、新たに戻った耳は彼に衝撃をもたらす。魂の形という微かな存在だけで周囲を観察していた彼にとって音による情報はあまりにも膨大なのだろうね。ただ、このような衝撃はこれっきりかといえばそうではなく、今後眼などが戻ってくれば更なる試練が彼に訪れるのは想像に難くない
更にラストでは以前取り戻した生身の足を鬼神に喰われてしまった。もしあれが作り物の足であれば味わうことのなかった苦しみ
失ったものを取り戻すということは、それによって喜びだけでなく苦しみも持ってくるかもしれないということなんだろうね
音のある世界には初めて触れて、でも慣れなくて耳を塞ぎ体を丸める百鬼丸。そんな彼が出会ったのが母性的魅力に溢れたミオであったのは印象深い
彼女は身寄りのない子どもたちの面倒を見つつ、彼女ならではの方法で働いていたわけだけど、もちろんその方法を楽しんでいるとか誇りを抱いているなんて欠片も思っていないことは百鬼丸が魂が見えると知ったときに襟元を合わせた描写から明らか
けれど、彼女がその方法を止められないのは子供たちを守りたいから。戦によって多くを失った子供たちを守りつつ、戦で失ったものを戦から取り戻そうとするために武士たちを相手にする道を選んだ
ミオも百鬼丸と同じように失ったものを取り戻す中でまた別の苦しみを味わってしまう
そして醍醐景光は百鬼丸やミオとは逆の状況になりつつある。
彼は自分の子供を生贄にして平和な領地を手に入れたのだけど、百鬼丸の活躍によってそれが脅かされている
戦に面している味方に兵糧を送ろうとするが、日照りが続いているために自分たちのために米を取っておくことを考えなければならなくなった。もし全てを守ろうとするのであれば、再び自分の子供を犠牲にしなければならない。
醍醐景光はせっかく手に入れた平和を失う恐怖に直面することになった
身体を取り戻したことで弱くなった百鬼丸。取り戻すことが必ずしも良いことではないと囁いてくるような回だった