イタチは何らかの方法でお自夜の背にある地図を盗んでいた。それはお自夜の死後に盗むしか無いわけだけど、まさか墓暴きをしていたとは……
以前琵琶丸が指摘したように金で人は動き世は変わる。あっという間に変わってしまう
火袋に従っていたイタチは変わる世に対応する為火袋を裏切り侍に付いたが、保身の為に侍から離れた。そこまでは理解できるが、金に困ったイタチが金の為に火袋の妻お自夜の墓を暴く所業は理解しにくい
その行動は情よりも金を優先したために行われた。金によってイタチは変わってしまったと見ることが出来る
しらぬいは地獄のような世にあって更に地獄を煮詰めたような在り方
鮫を飼い慣らし家族として扱うのは良いが、鮫が人の味を覚えたことでしらぬいは鮫に食わせる為に人殺しを繰り返すようになる。それどころかしらぬい自身も人食いを好むような発言も見受けられる
食う物が無くなれば人を食う。それはもしかしたら異常な世界において正常な行動なのかもしれないが、その行動は墓暴きをしたイタチすら身震いさせる。
人食いによってしらぬいは鬼畜に成り果てる
年貢の納め時と命を諦めそうになったイタチをどろろが説得する下りは印象的
この時、どろろは鮫を倒すために囮を申し出る。かつてイタチは侍に囮にされた為に侍から離反した。その際の囮はいわば命を使い潰す為の囮だ
けれど、どろろが行った囮はむしろ命を得る為の囮。それによってイタチ達は孤立した船の上から脱出出来る
イタチは船上でどろろと火袋を重ねる。更にどろろの行動に感服する。だから憎きしらぬいへのリンチもどろろの一声で止める
イタチの中でどろろの影響で何かが変わり始めていたのかもしれない。それでも金には敵わない。イタチが述べていたように情よりも金が優先される
ボコボコにされたしらぬいは自身の痛みよりも次郎丸が受けた痛みに涙する。そして咆哮し続ける三郎丸の悲しみも感じ取る
だからこそ、食事のためではなく復讐のために「奴らを食い殺せ!」と命令する
どろろを探し回る百鬼丸。鬼神を倒し体を取り戻す百鬼丸の人生にどろろは必ずしも傍に居て欲しい存在ではない。それでも百鬼丸は不自由な足を押してどろろを探す。
その行動は目的よりも情だと言わんばかり。
そして再登場する樹海。彼は己の人生より情を優先した人間。彼と再会することによって得られる影響は百鬼丸に何を齎すのだろう?