エルヴィンに薬を使う為に「私情を捨てろ」とエレンに言ったリヴァイが、最後は私情によってエルヴィンに注射を使わない決断を。彼を想うがゆえに彼の安寧な死を願うか……
一度は諦められても二度も諦めることは難しい。そんなことを感じさせた回だった
エレンはアルミンが犠牲になると判っていても作戦を実行することを止められなかった。リヴァイは獣の巨人を倒すためにエルヴィンを犠牲にした。ジャンは自分たちが生き残る為にライナーを倒した
それぞれの決断は危機の中で行われた。だからよくよく考える時間はない。諦めて受け入れるしか無い。
けれど、危機が去ってもう一度同じ決断を迫られれば意見は変わってしまう。諦められなくなる
ジャンは友人だったライナーをすぐに殺す決断が出来ず、彼が生き延びる道を用意してしまった。エルヴィンに死んでくれと言ったリヴァイは彼を蘇らせるために理屈をこね周囲と軋轢を生じさせる。エレンはアルミンを蘇生させるためにリヴァイに刃を向ける
アルミンとエルヴィンのどちらに薬を使うか。その選択はとても難しく、どれが最上の決断になるというわけでもない
そして、選択の決定打となったものが夢を諦めせることだったのは印象的
アルミンの海を見に行きたいという夢は害はないし、本人を苦しめるものでもない。けれど、エルヴィンの真実を知りたいという夢はそれによって大勢を死なせてしまったし、本人も地獄の苦しみを味わい続ける
もし、ここでエルヴィンを蘇らせてしまったらエルヴィンは夢を諦められなくなる。それによって更に苦しみを増殖させてしまう
そして一度エルヴィンが夢を諦められたなら、ここで蘇らせて再び夢を追わせるというのはあまりに酷な話。だからリヴァイはエルヴィンをこのまま死なせる決断をするというわけか
エルヴィンが死に、アルミンが生き残った。これは物語の転換点となったように思える回だった