多宝丸の片眼、陸奥達の片腕を失わせたのはこの展開の為か……!なんて恐ろしいことを考えるスタッフだろうね
前回は立場の逆転現象が幾人かに起こっていたように思えたが、その中で流れに逆らうことも乗ることもしなかったのが縫の方とどろろ。この二人の行動は今回の話において目を見張る物があるね
そうなったのは彼らが遂に自分が何を望み、何の為に動くのかを決めたからだろうね
どろろは百鬼丸が体を取り戻すことよりも、百鬼丸が百鬼丸のままで居ることを望んだ。領主の妻と百鬼丸と多宝丸の母としての立場で悩んでいた縫の方は母親としての立場で行動することを選んだ
百鬼丸の望みと自分の望みの差に悩み苦しんだどろろは、牢の中で自分がどうしたいかを決める。百鬼丸を探して行動を始め、その際には百鬼丸の母親である縫の方がついてくることを許してしまう
対して縫の方が自分は何をすべきか決めるには幾つもの工程が必要となる。
どろろから百鬼丸が自分の言葉でどう思ったのかと問い詰められ、そのどろろが「おっかちゃん」と呟いたことで母性を思い出す
それでも縫の方は百鬼丸を捨てたことについて、「領主の妻として私は悔いはしません」と答える。
なら、母親としてはどうなのかと見れば、どろろが操る船に乗って流れるのはかつて百鬼丸が流された川。そこで縫の方はようやく母親としての本心を口に出す。「あの子に会いたかったのです。もう一度」というとても単純な言葉
母親としての本心を露わにし、川に沈んだ後の縫の方の行動は様変わりする。
誰に頼まれたわけでもなく病人達の世話を始める。その行動は領主の妻としてではなく母親としてのものだろうね
どろろも縫の方も自分の立つべき場所をはっきりさせたために行動に芯が通る
一方、多宝丸と百鬼丸は自分の立つべき場所を間違える。
領主の息子として守る者と捨てる者を分けねばならない多宝丸はそれを間違える。国の為に百鬼丸は切り捨てたが、陸奥を見捨てることは出来なかった。その果てに多宝丸は体に百鬼丸のパーツを宿し、只人ではなくなってしまう
百鬼丸は体を取り戻しに醍醐の里へ来たはずがどろろを取り返すために暴虐を始めてしまう。更には妖怪化したミドロ号に跨がり更に殺戮を繰り返してしまう。その姿はもう鬼神と変わらない
最早、正しさとは何か判らなくなりつつある状況、縫の方がどう行動するのか気になってしまう