十丸院の言動は相変わらず酷いのだけど、なんだか癖になってきた気がしないでもない
どうせファンなんて居ない、皆バイトだと僻む可久士に対して「先生ごときのサイン会で~」と言い切ったシーンには大笑してしまった
「させて頂いている」との認識で物事に挑む。それは社畜感に満ちているけど優しい世界
買わせて頂いている。描かせて頂いている。仕事をさせて頂いている
その果ての姫を育てさせて頂いている。この認識が後藤家という優しい世界を維持するのに一役買っているのだろうね
けれど、その優しい世界の裏にあるのは可久士と謎の人物に依るせめぎあい
親としての自覚を責められる可久士は、一方で「きんたましまし」を描いているような男には娘をやらんと考えてしまう
そう指摘してくるという事は謎の人物は可久士に対して同じように考えているわけで
毎年送られてくるランドセルは一種の嫌味なのかもしれない
子供がお仕事体験するキッザニラと漫画家とファンが出会うサイン会
どちらも本来は優しい世界の筈だけど、可久士にとっては姫にバレるとか、ファンなんて来ないとか現実を突きつけられる場と見てしまう
けれど、結局はどちらも可久士に現実を突きつけることはなかった
身内から始まったサイン会の行列は予想に反して何人もファンがやって来た笑顔でサインを貰っていく何人ものファン。
また、子供に見せるもんじゃないと思っていた下ネタ漫画を楽しんでいた親子が居た事実は「きんたましまし」を恥ずかしい漫画と感じていた可久士にとってちょっとした衝撃だったんじゃなかろうか?
姫も可久士を目の前にしても漫画家スタイルであった為に気づくことはなく。まあ、こちらは未来の姫が述懐していたように真実から目を逸らしていたからかもしれないけど
どちらにせよ、可久士が危惧したような事態にはならず優しい世界が守られた点は印象的
だからこそ、それに反するように未来には優しい世界が遺されていない点が……
未来の姫が箱の中から見つけたとてもつまらない漫画。3人の家族が平凡に暮らす夢物語のような日常
可久士が17歳箱に訪れることのない優しい世界を詰めた理由が気になってしまう