原作既読。流石に1話単位で感想を上げるのは手間なので一纏めに
魔王を倒した後から始まる物語。人間にとっては時代の転換点と言える程であり、ヒンメル達にとって永遠とも言える10年。けど長命のフリーレンには「たった10年」で些細な話
ヒンメルの死という停止を前にようやく「たった10年」の意味を知るべきだったと悟った彼女の物語は類を見ないもの
人間とエルフで異なりすぎる時間感覚が本作をとても良い作品にしている
フリーレンにとっては短い時間でも人間はあらゆる変化を内包できる。フリーレンは変わらないままなのにかつて接した人は老いてしまう
フリーレンにはたった10年や80年でも世界はそれだけの時間が過ぎている。つまり、フリーレンが知らず過ごした時間にはたくさんの「知」が詰まってる
ハイターが拾ったフェルンは時間経過の象徴だね
勇者パーティの旅には居らず、出会った当初は世話される幼子。でも共に過ごす内に彼女は成長しフリーレンと旅するように。それどころかずぼらなフリーレンの母親代わりみたいになってしまった
フェルンの身に起きる「時間」はフリーレンに人間の何たるかの一端を教えるもの
また、異なる時間を持つフェルンとの旅はフリーレンの「時間」にも少し影響する
フリーレン一人なら半永久的に続けそうな蒼月草探し。でもフェルンの時間はそれを許さない。そんな関わりがフリーレンの行動を変え、想いを変えるわけだ
それが明確に現れたのがフェルンの誕生日を祝うシーンかな
1年に1回なんて「頻繁に」訪れる出来事を彼女は祝った。それはフェルンを知る前のフリーレンなら考えられない行為だろうね
旅の折々で見るヒンメルの足跡はフリーレンに彼という人間を教えてくれる、いわば対話の一つ
でも、その遣り方では人間を知った上でヒンメルと語らう事は叶わない。ハイターやアイゼンが気遣ったのはそういう点
魔王討伐と同じ道を辿る新たな旅はフリーレンの「たった10年」を「掛け替え無い10年」に変えるのだと察せられる素晴らしい初回となったね