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全体
普通
映像
とても良い
キャラクター
普通
ストーリー
良くない
音楽
普通

遥か昔に小説版を読んだ気がするのだが、ぼんやりとした印象を第1話第2話について覚えているのみで終幕の第3話が全く記憶になかった為に補完する意味合いを込めて鑑賞
見終わって最初に出てきた感想としてはとても美しく美術的な青春風景と男性的な恋愛観が内包された作品といった処だろうか?

貴樹と明里の恋は何段階か存在しているね
出会ったばかりの頃は小学生らしい淡い恋模様が見え隠れしている。一緒にいるけどそれ以上の意味を持たない、持たせたくない。それが中学進学に拠って崩れ、一緒にいる為に栃木まで向かうわけだけど、その道は事前の想像に無かった困難に満ちたもの。これは2人の関係が空間的に離れてしまった点を暗示しているかのよう
だからこそ、キスをして特別性を見出そうとしたのかな?でも貴樹も明里もそれまでの二人を繋いでいた手紙の事を言及できなかった時点で2人は既に一緒に居られない事実を自覚していたと言えるのだろうね

第1話では手紙を出す明里と会いに行く貴樹と双方向的な繋がりが描かれたけど、第2話では花苗という別の少女に拠って2人には繋がりが有ると間接的に描いているね
花苗から見れば貴樹は一人で居る事が多くて、それが花苗には他の男子と違って見えた。でも、それは視聴者には判るように貴樹の心が此処に無いからそう見えてしまうだけで。心が在る場所は精神的な世界であり、そこでは明里と一緒なのだろうな。空間的な距離があるからこそ精神的な一緒を求めていたのかもしれない
そんな状態では他の人物と心を通わせるなんて出来る筈がなく。第3話で破局した女性も同じ理由か

第3話では2人の繋がりが完全に絶たれた様子が描かれるけど、貴樹より先に明里の方が別の道を選んでいる為に貴樹の虚しさが強調される形に
この頃の貴樹は働いているわけだから空間的な距離は関係ない。それでも明里の傍に行けないのは精神的にも既に離れていたから。明里はそれを認められたから新たな恋というか人生へ進む事が出来た
なら、貴樹に求められるのは既に自分達は離れ離れになっていると自覚して別の道へ歩みだす事で

再び出逢えたかもしれない明里を前にして、その再会を阻んだ電車に憤るのではなく、電車を越えて会いに行くのではなく。桜舞い散る光景に背を向けて歩き出せた様子は貴樹がようやく失恋を終わらせた瞬間と言えるのかもしれない

と、色々見えてくるものは有るものの、全体的に貴樹を主軸とした恋愛性が作品を支配している為に貴樹にどう感情移入するかで作品評価が大きく変わりそうだなと思ってしまったり。特に第3話は状況が語られる貴樹と語られない明里の落差をどう捉えるかも評価に影響しそう
個人的には第2話の花苗はもう少し報われて欲しかったと思ってしまったり

また、絵と脚本のバランスが少々難しい事になっていると思う部分もあったかな
背景や情景はとても美しく仕上がっていると思うだけに、絵によって充分に表現されている心情をモノローグでも言及してしまうシーンが幾つか見られたのはクドく感じられたり
それだけに台詞が無くなって主題歌が大きく流れて貴樹・明里・花苗の恋物語を美しく描き出すシーンはとても上手く嵌っていると逆に思えてしまったよ



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