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とても良い

実力者だった久美子や奏の序列が下がった事で静かな激震が確かな罅割れを生み、そこから全と個、公と私、レギュラーと非レギュラー等の対立が見えてくるのは面白い
久美子はこの分断を感じさせる問題に北宇治の部長として向き合うかそれとも黄前久美子という個人として向き合うか、そういう点が問われた訳だ

今回の騒動では久美子自身もショックの渦中にいるという要素は大きいね
本人に思う処は有るのに北宇治の部長として振る舞わなければならない
唯一『私』として悩む姿を明かせたのは親友である麗奈に対してだが、彼女は滝に恋する『私』や変わらずソリを取った『レギュラー』としての立場が久美子より滝を優先する心情を生んでいる

割れる雰囲気の中で滝を肯定し続ける麗奈の振る舞いはより分断を意識させるものになるね。麗奈のスタンスが様変わりしたわけではないのだけど、なら何が変わったかと言えば、その原因を滝に求めると分断に繋がる構図となっている
幹部間ですら生じる意見の食い違いは部全体で起きている事態の縮小版。滝への肯定や否定が北宇治の実力主義スタンスを揺らがせている

麗奈との素を曝け出すような対話は互いの本音を明かしつつも、それぞれの根源的なスタンスをも明示するものとなったね
麗奈は『高坂麗奈という実力者』として、久美子は『黄前久美子という部長』として、役割に準じる己ではなく、役に就く中で形作られた自我を衝突させた
だからどちらも間違いではないし、それがしばしの別れを呼ぶのも覚悟の上

唯一、みっともない『私』として憤りを見せてくれたのが秀一か
なのに『公』として久美子が返したのは強がりなのかな…。久美子にとって今の秀一は泣き言を言える相手じゃないようで
泣き言を言えないなら役に準じるしか無い。そう考えると、同じく役に準じて平時と調子を変えない滝から引き出すべきは公私どちらの言葉だろうか?
部長として黄前久美子として、彼女は滝に何を聞くのだろう?



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