己が何者かと定義する事で行動目的や行動様式に影響するわけだけれど、それで己という本質まで変わってしまう訳ではないという話だったのかな
奈津は親孝行を決めてから行動が変わり表情も変わった。そこには己の定義が関わっているね
同様に甚夜も己が鬼になったとの認識から生きる目的を狭めていたけど、おふうは異なる捉え方をしてくれたね。甚夜がどう変わろうと思い出はそこかしこに咲いている。甚夜の中に留まっている。鬼になったとて甚夜という人間性は変わらない
ならば復讐にひた走った茂助も同じだったのかな
辻斬り鬼を見掛け、彼はいつにない表情で斬り掛かった。けれど彼の本質は変わらない、力ある鬼には勝てやしない
でも彼の本質はもっと前に存在していたと判る回想は良かったな。戦うよりも安穏と暮らす事を選んだ彼は人助けをついやってしまう男で。はつは彼の本質を見て、茂助の正体に関係なく好きになり、二人は夫婦になったわけだ
だというのに、はつ自身があんな事になるなんてなぁ……
鬼になっても家に帰ろうとする彼女の想いは変わらない。けれど、人の悪意と暴力に晒された彼女の本質は歪められてしまった。それこそ愛する夫を感慨なく殺してしまう程に
もはや元には戻れない善き夫婦を知る者として葬りつつも、同時に餞も遺し、まるで二人が今も仲睦まじく会話しているかのように整えてくれたシーンにはほろりと来てしまったよ
また、鬼のような心を持った人間を正しく討滅した甚夜の行動には彼の変わらない本質が見えた気がしたね