酒は飲んでも呑まれるなというが、今回の話では酒によって人間性が呑まれてしまった者達が描かれたね
水城屋の主人は酒を呑み過ぎたら可怪しくなるのは当然だなんて言う。けれど人間らしい感情が破壊され鬼と化す酒は人の世に在って良い物じゃない。そのような酒が泉から湧き出る異常事態は人の世と鬼の世が近づいたかのような錯覚を受けさせるね
特にそこにあの鈴音が関わっていると成れば尚の事
甚夜が認めたように誰の心にも憎しみはある。しかし、誰もが憎しみ以外の感情も心に持つから憎しみだけで生きずに済む。例えば、前回は甚夜に憎しみの言葉を吐いた善二が失敗を取り戻すべく仕事に励むように。例えば、善二に厳しい事を言った重蔵が実は彼の失敗に失望しつつもまだ取り返しが付くと許容しているように
けれど鈴音が齎した酒は幾つもの感情が宿る心を憎悪一つに染めてしまう物
人間らしい複層的な心が憎悪一つだけと成れば、人は人で無くなり鬼と化してしまう
そのような酒を呑んでいるとなれば重蔵や奈津の安否は確かに心配になるね
ここで思い起こされるのは葛野に居た最後の夜の出来事か
あの時、甚夜は鬼の相手をさせられ鈴音が憎悪一つに染まる瞬間に間に合わなかった
それを思うと、秋津が鬼の相手を申し出てくれたシーンには尊さを覚える。勿論、秋津が甚夜を行かせたのは善意だけではないが、そうした複層的な感情が甚夜に猶予を与えてくれたのは事実
甚夜が鈴音を許せない心も重蔵を助けたい心も真実。その複雑に折り重なった感情の下で走る甚夜は今度こそ大切な人達を助けられるのかな?