単純に設定は面白いと思った一方で、その魅力を十分に活かしきれていないようにも感じた。
記憶を取り戻していく中で生まれる意外性や、その人の生き方・考え方など、内面が掘り下げられていくところには興味を惹かれた。
また、黄昏時の世界の記憶を取り戻すホテルで「誰ソ彼ホテル」という名前も雰囲気のあるシャレたネーミングだと思う。
一方で「生と死の狭間」に対する自分のイメージと、作品が描こうとしている世界観が噛み合わず、終始ちぐはぐな印象を受けた。
比較することにあまり意味はないが、生と死の狭間というと、自分には「デス・パレード」のような雰囲気のほうがしっくりくる。
そのため、あっけらかんとした支配人や、死に対する緊張感があまり感じられない描写は、
作品の設定から自分が抱いていたイメージとはかけ離れているように感じられた。
また、終盤に登場する「記憶を持ったまま現世に戻れるエレベーター」や「地獄送りにできる箱」も、
ストーリーをまとめるための便利な設定のように感じられてしまった。
もちろん、「生と死の狭間」に対するイメージは人それぞれだと思うので、自分とは違う解釈として楽しめた人もいると思う。