自分の気持ちに素直になれなかったこゆんは湊との関係を友達のままにとどめ、
逆に自分の気持ちに素直な桃香は湊との関係を進めることになった。
そういう意味での「停止と進行」なのかもしれない。
湊は自分の気持ちを脇に置き、桃香を傷つけまいという思いから告白を受け入れたように見える。
湊自身、そんな自分を変えなければいけないと考え、一度は桃香の告白を断るものの、結局は受け入れてしまっている。
変わろうと思っても変われなかった湊もまた、停止している側の人間に見えてくる。
自分が傷つくことや関係が壊れることを恐れ、自分の気持ちに蓋をするこゆん。
こゆんと湊の気持ちを察しながらも、自分の気持ちに素直に行動する桃香。
相手を傷つけまいとするあまり、自分の本心に沿った決断ができない湊。
それぞれ異なる思いを抱えた三人の、どこか歪な関係が興味深い。
停止している人間は、いつまでも停止し続けるわけではないだろう。
こゆんや湊が進み始めたとき、三人の関係はどうなっていくのだろうか。
くるみが豪ドル円の取り引きでどんどん追い詰められ、次第に視野が狭くなっていく様子に妙なリアリティがあって、見ているこちらも若干つらくなってくる展開だった。
タンス預金に手を出せば、母親と同じ道をたどることになりそうだが、くるみが冷静さを取り戻せるのか、どんな決断をするのか気になる。
あまり感情移入しすぎると、こちらの胃も痛くなってくる。それは、自分が同じような状況になったら、くるみと同じような思考に陥らないという自信が持てていないからかもしれない。
ロゼが惚れ薬の素材をまとめて教えないのは、何度もハリージュと会う理由を作っているからなのだろう。
「好きになって欲しいなんて考えてもいない。ほんの少しでも覚えてもらえたら、それでいい」というセリフからは、不器用さや卑屈さを感じる。
一方で、来客を知らせる鈴の音にソワソワしたり、「他意はない」と言いつつデートの前に振りかける薬を使ったりと、年相応の女の子らしい一面ものぞかせていた。
こうした、本音を隠そうとしながらも隠しきれず、持て余してしまう姿が初々しく可愛らしかった。
ハリージュと同僚の会話では、ハリージュ自身は恋には無縁の様子だったので、惚れ薬を依頼したのは別の誰かなのかもしれない。
魔女に対する世間の反応が描かれた回想シーンでも、ハリージュはチラッとロゼに視線を送っていたように見えたので、ハリージュ視点での物語も気になる。
友達の父親を殺すことに躊躇を見せなかった昴が、最後に「友達ってムズいな」とポツリ。
奏史と過ごすうちに、友情を意識し始めたように感じるセリフだった。「友情」と「殺し屋としての仕事」をどのように決着させていくのかは気になるところ。
あらすじを知っている程度だが、二人が連弾していたカルメンは、愛や欲望、嫉妬、所有、自由などをめぐる悲劇の物語。今回の物語とカルメンをどのようにリンクさせてくるのかも興味を引かれる。