グレイスはリグモアと一緒に、地上に「夢」を見たが、その結果は、およそ「夢」とは呼べないものになってしまった。
もしかすると、「地上に光はない」と認めることは、自分が地上へ向かったことが間違いだったと認めるだけでなく、グレイスとリグモアが一緒に地上に「夢」を見たこと自体まで否定することになるのかもしれない。
リグモアの
「美しいあなたの、美しい夢が見える。地上だって海だって関係ない。愛のために生きることができさえすれば、きっとどんな場所にだって光はある。私たちの夢は。」
という思いは、グレイスを赦し、慰め、励ますための言葉であったかもしれないが、リグモアが二人の夢をまだ信じていることも示しているように思われる。
しかし、もし地上に光がないとなれば、リグモアの思いも、二人の夢も嘘になってしまう。
リグモアの思いによって、グレイスは地上に光があることを証明することに縛りつけられてしまったのかもしれない。
実際、グレイスの
「汚れなき心を持つお前なら、叶えられるはずだ。地上への夢を。でなければ、この地上に光が無いとしたら、私は何故、何故ここまで来たんだ。」
というセリフからは、リグモアの思いにすがり付くような姿や、自分たちの「夢」は間違っていなかったという証明を求める足掻きが感じられる。
そう考えるとグレイスは、ララの「地上へ行ってみたい」という望みを単に叶えようとしたのではなく、ララに自分たちの「夢」が間違っていなかったことを証明し、自分自身を救ってもらおうとしたのかもしれない。
グレイスの後悔や自己正当化、リグモアへの思いといった複雑な感情が、この物語の根底にあると感じるエピソードだった。