サービス開始日: 2025-04-12 (300日目)
おにまいの作画。藤井慎吾のアニメは世界を過剰に美しく描写する点で新海誠作品と似ている気もするが、根本的にアプローチが異なる。新海が光の反射など写実性の表現を過剰にすることで物語にかかわらず世界を「美しく描写する」一方で、藤井は夕日や宝石の輝きといった物語に即した表現を印象的に使って世界を「美しいものとして描く」。おにまいもそうであったが、藤井のやり方はキラキラした主観に徹底的に終始するので、世界が美しくあってほしいという「祈り」の印象を抱かずにはいられない。美しくないものを排除するという意味では山田尚子とも通じるが、山田の作品はやはり排除が核であって、藤井のはむしろ美しさへの妄執という感じがある。
『泉りこ危機一髪!』と『やさしさ革命』がよかった。井の中の平和
癖強い奴らが一方的に何かを向け合ってただ波風だけが立って何かに収束する気配もなく終わる感じがとても良い
初期設定はほぼ何もないに等しいのによくやっている。さざなみのような緩急がテンポ良く絶えることなく、じりじりと関係性が変化し、キャラクターがほんの少しだけ成長する。この独特のリズム感がきららアニメの一つの魅力であり、この作品もその例に漏れていない。そしてキャラクターがかわいい。昨今はつまらん現代人にアバターを被せたような、全く軸のない、キャラクターもどきが氾濫しているが、この作品はちゃんとキャラクターを描いていて好感が持てる。
舌を巻かずにはいられない。「抜きゲーをベースにしたうまいコメディ」くらいの印象だったのが180度変わった。抜きゲー的な世界観がマジョリティの暴力に対する風刺として極めて有効に機能している。これはマイノリティの苦しみと闘争という普遍的な主題を非常にエレガントに表現した作品だ。
尺の都合で話が詰め込まれているのも、通常は描写が雑だという評価になるのだろうが、むしろ密度があって良いと感じた。昨今は描写の丁寧さが重視されるあまり、物語的な密度のない、のっぺりとした、薄味の作品が多いので、特にそう感じるのだろう。