サービス開始日: 2023-06-02 (1208日目)
第9話で描かれた、巨大ロボットお披露目の場におけるあの冷ややかな空気感。開発者たちが注ぎ込んだ膨大な熱量に対し、一般の参加者たちは冷めた視線を向けるという「当たり前のズレ」は、創作の世界にとどまらず、私たちが暮らす現実の世界でも普遍的に起きている現象と言えます。
作り手や技術者にとって「二足歩行で人が乗り込める巨大なメカを動かす」という行為は、数々の技術的ハードルを乗り越えた末に到達した、まさに夢と熱意の結晶です。しかし、フォンドロイドによる拡張現実といった先端テクノロジーが生活の背景として当たり前になった作中の世界では、一般層の関心はより利便性の高いツールや日常的な娯楽へと移っています。技術的な凄大さと、受容する側の「見慣れ」「無関心」との間に生じるこの残酷なまでのギャップを隠さずに描くからこそ、観客である私たちは作品の現実味をより強く実感させられます。そして同時に、あの冷淡な視線に晒されながらも巨大ロボット完成へと突き進む主人公たちの泥臭いロマンと情熱が、よりいっそう鮮烈に胸に響く見事な描写でした。
綾崎ハヤテの記憶喪失(嘘)により、記憶補完計画を遂行する少しビターで美しいエピソードです。
「まどマギらしい最高の演出に仕上げたから、あとは好きに考察してくれ!」――スクリーンからそんな作り手の声が聞こえてくるような、熱量に溢れた一作でした。
恥ずかしながら、まどマギシリーズのこれまでの話をあまり詳しく知らなかったこともあり、鑑賞中は頭に「?」が浮かぶ場面が多々ありました。「鹿目まどかが全ての魔法少女の不幸を一人で背負おうとし、それを暁美ほむらが全力で止めに行く。しかしその行為すらも受け止めていく」というざっくりとした理解にとどまってしまったのが少し悔しいところです。もっと作品を読み込んで、深く考察してみたいと思わされました。
とにかく音楽と映像のクオリティが凄まじく、観ている間ずっと背筋が寒くなるような鳥肌が立ちっぱなしでした。あまりの凄さに開始30分あたりから右手で鳥肌が立つ回数を数えてみたのですが、なんとそこからエンドロールまでに32回。それほどまでに演出のパワーがずば抜けています。これほど公開までに長い時間をかけた理由も、映像を観れば誰もが納得するはずです。また、異空間などを手がける劇団イヌカレーは、単なる背景ではなく「感情」や「概念」そのものを画面に描き出す天才だと改めて実感させられます。キャラクターデザインの美しさは言わずもがな、独特の世界観が作品の魅力を何倍にも引き立てています。
一度観ただけでは消化しきれないほどの圧倒的な体験をくれる映画です。
アニメを24分に収めないといけない制約の中、後半8分ほどは本編とほぼ関係ない話を入れるという思い切った構成です。大人の事情もあるでしょうが、剣道のエピソードを最大限よく見せようという強いこだわりを感じます。