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普通

ようやく春夏秋冬共同戦線によって過去に決着をつけ、未来を切り開こうとするところまで来た。それは良い。さくらと狼星の会話、和解、共闘の決意は実際に良かった。

だが…秋襲撃の後、具体的なアクションが起こるまでに前回に引き続き今回もほぼ丸々1話使っており、テンポが非常によろしくない。あまりに不可解なので原作小説とコミカライズを見たのだが、原作小説は地の文でさらりと状況説明したり過去回想したりしていて読者としてはそこまで冗長には感じないのだが、アニメはこれをいちいち丁寧過ぎるぐらいに映像化し、場合によっては地の文の説明から新規に場面を起こして会話として映像化しているため、原作に比べると本当に進行がまだるっこしく感じられる。さらに映像化にあたっての演出も情緒的かつ冗長で、テンポの遅さに拍車をかけている。丁寧に、大事に、原作で描かれないところまで映像化しており、原作が描く情緒を増幅して映像化しようとしているという意味では頑張っているのかもしれないが、TVアニメシリーズとしてのテンポ感が完全に死んでいる。その頑張りは逆効果だと思う。

さらに、原作では大きく各代行者ごとに章立てされ、それぞれの視点から過去が描かれるため、今まで何を見せられたのか、今何を見せられているのか、次に何を見せられるのかがわかりやすく、繰り返し出てくる似た回想も同じ事件を複数の視点から順に見ているからだということがわかりやすかった。アニメではそうした構成はすべて解体されて視聴者からは見えないようになっているため、今自分が何を見せられていて、この先どこに向かっているのかもわからないし、繰り返し同じような回想を見せられる理由もよくわからない。これは純粋な構成上の失敗だと思う。

コミカライズは春視点を中心に進めるという、一見アニメと似た状況・制約に見えるのだが、春視点でスムーズに話が進行するように構成自体を大きく変更しており、テンポが非常に良い。例えば7~9話の部分で言えば、秋襲撃の直後に春が秋を訪問して協力を申し出、既に夏と冬の協力を得ていることを伝達しつつ直ちに情報共有、春の過去の経験をもとにした護衛官の鼓舞、協力体勢の構築が描かれる。その後に既に合流のために移動している冬の回想として春とのやり取りが描かれ、車の中の仮眠で10年前の事件の回想が挟まれ…夢の、事件の終わりがさくらからの問いかけに接続され、決意とともに目覚める構成となっている。過去回想が現在の進行を妨げておらず、むしろ前へと進んでいく登場人物たちの推進力として使われている。襲撃のあと、秋合流までに丸々2話も使って現状が停止したアニメとはずいぶん違って、うまい構成だと思う。なぜ参考にしなかったのだろうと不思議に思ってしまうほど。

やりたいことはわからなくはないが、とにかくうまくいっていない。後半は求められるものが変わってくるし、原作に比べてアニメは情緒的な回想シーンを構成変更で前半で処理している(そのせいで辟易した人や離脱した人が増えてると思うけど)ため、事件・アクション中心でWITの能力が活きる展開になるのではないかとは思う。ここまでの失敗を覆すのは難しいかもしれないが、次回からは純粋に物語を楽しみたいものだ。



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