改めて、掠奪が民族の伝統ってエグい……。
確かに掠奪無しで極寒の地を横断するのは無理なんだろうけど。
そういえば、モンゴル帝国の行軍も通った後には草も生えなかったとか。
やはり、洋の東西を問わず中世という時代はエグい。
神父はトールズの話に愛を見たのだろうか。
キリスト教はその後、大陸ではフランク人達の間でも国教とされ、カトリックが力を付けていき、ヨーロッパ全土がほぼ教化されると、封建制が確立され、戦争は領主や貴族の権力争いの性質を強めて、無闇な村邑の掠奪は減っていくんだけど、それはこの作品の時代より300年ぐらいは後の時代。
アシェラッドもいずれは戦いに散る運命というか、宿業の深さが描かれていたように思う。ほとんどの宗教には罪の概念があるけれど、当時の北欧人達が信じていたのはアミニズム的色彩が強い神話であって、宗教的な観念性が薄い。ゆえに人を殺すことに躊躇がなかったのかも。中世にキリスト教が大きな意味を持つようになっていった背景はこんなところにもあるのかも。
アンは罪の概念を持ってしまったがために、背徳の味をも知ってしまったってところか。宗教の光と闇。