あまりにも濃く、面白い3期1話目だったので、すぐに再視聴した。
OPはさらに3回見直した。
それだけ完成度の高い1話だったと思う。
今期覇権とか、順位付けとか、もうどうでもいい。
ただただ、続きが楽しみになった。
ここで言う「完成度が高い」というのは、
作画が良いとか、展開が派手とか、そういう即物的な話じゃない。
一話の中で
テーマ・感情・関係性・回収
そのすべてが、ちゃんと呼吸している感覚。
アイゼンの言葉が過去に刺さり
ヒンメルの選択が現在に残り
フェルンとシュタルクがそれを“生活の判断”として実行し
フリーレンが、強さを誇示せず「預ける側」に回る
その全部が、
「じゃあ、行こうか」
という一言に収束する。
これは、流行りや覇権で語る構造じゃない。
時間をかけて、心に残る作品の作り方をしている。
「もしかして今、ちょっと空気悪い?」
――あの一言。
地味だけど、確かに“成長の瞬間”なんだよね。
フリーレン:
空気を“理屈で”察知(しかもちょっと遅い)
シュタルク:
「気づいた!?」と感動するけど、
自分の感情はまだ回復していない
フェルン:
何も言わずに、全体を把握している(通常運転)
この三人の温度差が、毎回本当に上手い。
しかも重要なのは、
空気を読めた=問題解決ではないところ。
フリーレンは
「今、空気が悪い“らしい”」
までは辿り着いたけど、
なぜか/どうすればいいかは、まだ分からない。
だからシュタルクは落ち込んだまま。
でも、それでいい。
この作品は
「察して全部うまくやる」キャラを作らない。
気づく人
支える人
落ち込む人
それぞれが役割を持ったまま、進んでいく。
だから笑えるし、
だから救われる。
シュタルクの
「だから、もっと優しくして」
これ、勇気を出して言ってるのが分かるから、余計に可愛い。
甘えたいけど、どう甘えていいか分からないタイプの不器用さ。
で、フェルン。
理屈としては理解する。
要求にも応える。
でも感情の“間”をすっ飛ばして、
「じゃあおいで。いっぱい撫でます」
という正解ムーブを最短距離で叩きつける。
結果――
シュタルクの警戒本能フル稼働。
「何企んでるの!?!?!?こわああああいいいいい!!」
もうこれは
不器用 × 不器用の事故現場。
極めつけは、
フェルンの
(めんどくさいな、コイツ)
という心の声が、顔に完全に出ているところ。
怒ってない。
呆れている。
でも突き放してもいない。
この
「距離は保ったまま、関係は壊さない」
感じが、本当に上手い。
三人とも不器用だ。
フリーレン:感情のタイミングが遅い
フェルン:正しいけど、加減を間違える
シュタルク:欲しいけど、受け取るのが怖い
だから噛み合わない。
でも、噛み合わないまま進める。
ここが、この作品の優しさ。
うまくいかない会話を
「失敗」として処理しない。
ただの“今日の一幕”として流す。
だから見ていて笑えるし、
「わかる……」ってなる。
フェルンが、
二人からもらったプレゼントを綺麗に洗って、
ちゃんと身につけて、
雑に扱わず、でも誇示もしないで持ち歩いている。
あれ、派手な演出は一切ないのに、
関係性が一瞬で分かる。
大事にしている
でも重くしすぎていない
日常の一部として溶け込ませている
つまりあれは、
「ありがとう」
「信頼」
「私はここにいる」
を、言葉を使わずに全部やっている描写。
フェルンは感情を爆発させるタイプじゃない。
だからこそ、
物の扱い方に、全部が出る。
この作品がすごいのは、
「感動させよう」としていないところ。
泣かせに来ない。
説明しない。
BGMも主張しない。
ただ
“そうしている”だけ。
だから見る側が、
「……あ、いいな」
と、静かに気づく。
最後の宿屋前での別れ。
カエル?から逃げ切った後の「行こうか」は、
危機を抜けたあと、日常に戻るための一歩。
今回の「行こうか」は、
別れを受け取ったあと、時間を進めるための一歩。
同じ言葉なのに、
意味の層が一段、深くなっている。
フリーレンは別れを特別扱いしない。
泣かない。
立ち止まらない。
語らない。
でも
「なかったこと」にもしていない。
だから
別れた
でも、旅は続く
また歩き出す
その全部を、
たった一言で済ませる。
サブタイトルも含めて、
本当に深い一話だった。