二つの悲劇がそう…当然であるかのように…来てしまった。セオの言うようにレーナは本当の現実が見えておらずどこか自己満足で終わっているのかもしれません。しかし、86に最も真摯に向き合っているであろう彼女が、アルバ全体の罪の責めを負わなくてはならないのは酷です。真面目なレーナはセオの言葉を額面通り受け止め自分を責めるのだろう。本来責めを追うべき共和国上層部や86を歯牙にも掛けない国民は彼らと節点すら持たないというのに。セオにとってもやり場のない悲しみと怒りの捌け口を分かっていてもレーナに向けるしかないわけで。このレーナとスピアヘッドの仲間たちとの皮肉過ぎる巡り合わせと運命にやるせない気持ちになります。それと同時に、本作を通して漂う刹那さと切なさにとても心惹かれます。
それにしても悲劇の瞬間の演出は素晴らしかったです…。最後の言葉、次の瞬間ED曲は静から動へ切り替わり、瞳を横切るKIRSCHBLUTE DESTROYEDの文字。管制室を背中越しに写す止め絵からモニターは赤く光を放ち続ける。でも悲劇の後も何も変わらない綺麗で非現実的な間。